コンサメーション/サド・ジョーンズ~メル・ルイス・オーケストラ | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。


ちょっと時間が経ってしまいましたが、

今月12日は私の姪の誕生日でした。

8歳になったということで、

時の経つのは早いものだなと実感しました。

会うのは夏休みや正月休みに帰省した時ぐらいなので、

見るたびにいつも成長の早さに驚かされます。


姪の父親(私の弟)から、あるエピソードを教えてもらいました。

この子が生まれた時に「A Child Is Born」

という曲を聴いたというのです。

子供が生まれた時の気持ちが非常に美しく描かれた曲、

私も好きで、以前ブログに書いたことがあります

 ↓

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10170134020.html


作曲したのはサド・ジョーンズ(tp,flh)。

トランペッターとしてだけでなく、

オーケストラのリーダーとしても活躍した人でした。

実はサド自身による「A Child Is Born」の演奏は

あまり残っていません。

トランペッターとしても優秀な人だけに、

ファンとしてはいろいろなバージョンを聴きたかったのですが、

サドは1986年、63歳で亡くなってしまいました。


今回は彼がオーケストラを率いていた時の

「A Child Is Born」を聴いてみましょう。

ブルーノートに残されたアルバム「コンサメーション」に

演奏が残されています。

ちなみに、ジャズファン以外にはどうでもいいことでしょうが、

このアルバムは他の会社でプロデュースされたものを

ブルーノートが買い取ったようです。


1970年、NYでの録音。

メンバーは膨大なので割愛しますが、

サドと共にオーケストラを引っ張ったメル・ルイス(ds)や、

ジェローム・リチャードソン(as,ss,fl)、ローランド・ハナ(p)、

リチャード・デイビス(b、eb)など、スターぞろいです。


③Tiptoe

「A Child Is Born」に行く前に、一曲寄り道を。

ここでの演奏は、オーケストラの特徴を実によく表しています。

非常に軽やかでモダン、コンボの拡大版のような

サウンドなのです。

豪華さを際立たせて、「どうだ、これがオーケストラだ!」

というような演奏とは一線を画しています。

「つま先」というタイトルからも窺えるように、

つま先歩きをしているような、軽快でユーモラスなメロディ。

最初のソロはスヌーキー・ヤングによるミュート・トランペット。

バックにつけられるホーン・アンサンブルは控えめです。

そして、ハイライトはメルのブラシ・ワークと

ホーン・アンサンブルが掛け合うパート。

ドラムとホーンの計算されていながら、

非常にノリの良い掛け合い。

オーケストラの完成度の高さが分かります。


④A Child Is Born

ローランド・ハナの美しいピアノで提示されるメロディ。

冒頭でこの演奏の完成度は約束されたと感じます。

続いて、フリューゲルホーンでメロディを吹くサド。

非常にストレートで感情を抑えたプレイです。

子供が生まれた時の厳粛な気持ちを想像し、

素直なプレイに徹したのでしょうか。

サドの後、ホーン陣が登場して、メロディを重ねながら、

徐々に音の厚みを増して盛り上げていきます。

このアレンジも過剰さを排した見事なもので、

特にフルートの柔らかな響きがきいていると思います。

聴き終わってみると・・・・

「ん?メロディしか演奏されていない!?」

名曲だけに、アドリブによるソロは雰囲気を壊しかねず、

難しいのかもしれない。

作曲者のサド自身による演奏が少ない理由も

そんなとこにあるのでしょうか。


姪が大きくなって、彼女が生まれた時に

父親が聴いた曲をどう感じるのか、楽しみです。

願わくば、この曲の良さを分かる乙女であって欲しいのですが、

どうなるかな?