ヒア・アンド・ナウ/ハンプトン・ホーズ | スロウ・ボートのジャズ日誌

スロウ・ボートのジャズ日誌

ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

Here And Now


先週、夏休みをいただきました。

このブログの更新も休んでしまいましたが、

そんな時でもアクセスしてくださったみなさん、

ありがとうございました。

マイペースながら今後も続けていきますので

宜しくお願いします。


休みの間、暑い東京を離れ、ふるさと・北海道で

楽しいひと時を過ごしてきました。

多くの人に再会し、酒を酌み交わし、

毎日がちょっとしたお祭りのようでした。

そうした日々が終わり、自宅に戻ってくると、

独特の気分に襲われます。

虚脱感と疲労感がないまぜになったというのか・・・

夏休み明けはいつもなのですが、

高揚した日々が過ぎた後、

どうしてもペースを取り戻せず、

ぐずぐずしてしまう自分がいます。


こんな時はジャズも力がみなぎっているようなものは

聴けません。

すぐに疲れてしまうからです。

そこで、ちょっとダルな雰囲気がある一枚を選びました。

ピアニスト、ハンプトン・ホーズの「ヒア・アンド・ナウ」です。


ハンプトン・ホーズは、1950年代の後半に

次々と傑作アルバムを吹き込んで名を挙げた、

生きのいいスイングをする人です。

それが、50年代末期から60年代の初めにかけて、

薬物のため5年間ほど活動を休止してしまいます。

それから彼が残した作品は、「全盛期以後」という扱いを受け、

人気もそれほど高くありません。

確かに、タッチは弱くなったような感じがしますし、

ソロでの天才的なひらめきも影をひそめました。


しかし、「力まない」後期の彼も、なかなか魅力的です。

1965年に録音されたこの作品では、

曲の流れを大切にしている彼のプレイが聴けますし、

選曲でもセンスの良さが光ります。

夏休み明けのレイジーな気分を引きずりながら

聴くのにもってこいのアルバムです。


1965年5月 ロスアンゼルスにて録音


Hampton Hawes(p)

Chuck Israels(b)

Donald Bailey(ds)


①Fly Me To The Moon

このアルバムを象徴する

「ちょっとした揺れがある」プレイが聴けます。

メロディの処理も極めてスタンダード、

ピアノソロにもストレートに流れ込み、

大きな工夫はないように思えます。

しかし、ちょっと疲労をたたえたような、

ふらっとした「揺れ」のあるスイングが

何とも面白いのです。

ピアノソロは後半になるとリズムと共に

かなり盛り上がるのですが、

攻撃性には欠けます。

それが欠点とは思えず、

逆に「安心して聴ける」と感じてしまうから

不思議です。

音楽を純粋に楽しむという姿勢からすると

邪道かも知れませんが、

薬の高揚感の後、まだどこかを浮遊しているような

人間の気分というものを想像してしまいます。


⑥People

名曲です。ジュール・スタインとボブ・メリルが作った

愛らしい曲をホーズが気持よく演奏しています。

オリジナル・ライナーでもホーズが

「少しだけテンポアップしたものの、

あとは原曲を大切した」といったようなことを述べています。

こうした可憐な曲ではホーズの歌心が生きてきます。

アルバムの中でも快調に曲の流れを作っている

ナンバーと言えるでしょう。


仕事が再開して二日目となる火曜日、

調子は取り戻せるでしょうか。

それとも、また鋭さに欠けるジャズを聴きたくなるような

気分なのか・・・・

またご報告したいと思います。