ジェリー・マリガン・ミーツ・ジョニー・ホッジス | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

Gerry Mulligan Meets Johnny Hodges


3連休ですね。

私はうれしくてたまりません。

というのは、悲しきサラリーマンである私が、

過去1年間で暦通りの休みを取れたことが

ほとんどないからです。

それが、今回はきちんと3連休をもらえることになりました。

やった!


心穏やかな休日に聴きたくなるジャズ。

いろいろありますが、

「寛ぎ」という点でオススメなのが

「ジェリー・マリガン・ミーツ・ジョニー・ホッジス」。

平和な昼下がりにぴったりのサウンドです。


この作品では、ピアノ・トリオにアルトとバリトンという、

二つのサックスが加わった異色の編成が聴きものです。

もう一つ、ポイントとなっているのが

二人のホーン奏者の年齢が離れていること。

アルトのジョニー・ホッジスは、1906年生まれ。

1920年代にデューク・エリントン楽団に加わって

有名になったという人ですから、

ジャズ界のパイオニアの一人と言っていいでしょう。

一方、バリトンのマリガンは1927年生まれ。

ホッジスがエリントン楽団に加入した時、

わずか1歳(!)だったはずです。

少年時代のアイドルがホッジスだったというのですから、

大先輩との共演ということになります。


タイプは違うとはいえ、同じサックスという楽器。

しかも相手は大御所。

後輩のマリガンは緊張したのでは?と思いつつ聴いてみると、

これが実にリラックスした快演なのです。

特にマリガンが少年時代を思い出したのか、

オールド・スタイルの演奏を違和感なくやっているのがうれしい。


1959年11月17日、ハリウッドでの録音。


Gerry Mulligan(bs)

Johnny Hodges(as)

Claude Williamson(p)

Buddy Clark(b)

Mel Lewis(ds)


①Bunny

力強いベースと小粋なピアノに導かれて、

アルトとバリトンがメロディを合奏します。

この合奏の息がぴたりと合っていること!

さすがビッグ・バンドで活躍した二人、

と妙に納得してしまいます。

そして、マリガンの作曲とは思えない

懐古的でのどかなメロディ。

こんな親しみやすい曲が書けるところにも

マリガンの才能の幅広さを感じます。

最初のソロはホッジス。

この人はやはりブルースの人ですね。

ミドル・テンポに乗った軽快なソロなのですが、

何とも深い味わいがある。

続くマリガンは低音を響かせそろそろと入ってきます。

音数は多くないし、スピードも速くないのに

確実にスイングしている。

この人の「低音なのに軽やか」なノリ、

大したものです。

アルバム全体の雰囲気を表している名演奏です。


②What's The Ruth

マリガンが作曲したバラッド。

メロディはホッジスが吹いています。

これも非常に「懐かしさ」を感じさせる曲で、

ホッジスの一音目を聴くと、

遠い昔にタイム・スリップしてしまったかのよう。

続くクロード・ウィリアムソン(p)は淡々と、

メロディに即した美しいソロを奏でます。

エンディングは再びホッジス。

何と、マリガンが入っていないではありませんか。

自らの曲で先輩に花を持たせたのでしょうか。


③Back Beat

これはホッジスの作曲したナンバー。

①にも似た「オールド・スタイル」の曲想で、

こうなるとどっちが作曲したのか

分からなくなってきます。

最初のソロはホッジス。

伸びのあるフレーズと、やや泥臭いブロウで

迫ってきます。

ピアノ・ソロをはさんでマリガンが登場。

こちらは張りのある音色でざくっと入ってきます。

この「男っぽい」ムードが何とも言えない魅力でしょうか。

アルバムの中でも不思議と録音が良いトラックで、

バディ・クラークのベース・ソロが非常に生々しく聴こえます。

そんなところも楽しんでください。


聴いていると、マリガンがホッジスのことをよく分かっていて、

先輩の土俵に乗りつつ、自己表現をしていることに感心します。

こんな風に先輩・後輩がお互いの「共通言語」を使いつつ、

交流できたらさぞ気持ちいいでしょうね。

休みの日に温かな出会いの記録に耳を傾ける、

そんな余裕がたまにはなくちゃ。