会社の「新管理職研修」というのが行われています。
今月、新たに管理職になった人たちに対し、
勤務管理のやり方や、
守らなければならない決まりについて
叩きこむ、というもの。
講師の話を聞いていると、
まだ精神的に成熟していない(?)私は
「自分がこれからこんな業務をしていいんだろうか」と、
戸惑うばかりです。
講義の内容はともかく、
驚くのは同僚の「変わりっぷり」です。
同期入社で、久しぶりに会う人もいるのですが、
多くの人がずいぶん「大きくなってしまった」こと。
40歳を迎え、あの細くキリッとした青年たちは
見事に中年太りしていたのです。
間食の習慣がないせいか、私は激変していないようなのですが、
それでも「不健康な話」や「住宅ローンの話」が大好きな中年に
なってしまったことは否めません。
年月に抗していくのは難しいことだと実感したのでした。
「昔の仲間」と久しぶりに再会したミュージシャンは
どんな思いでプレイするのでしょうか?
お互いの「衰え」を実感しつつ演奏するのか。
それとも、若かりし頃とは別の何かが生まれるのか。
そんなことを考えさせるのがハワード・マギー(tp)と
テディ・エドワーズ(ts)が双頭クインテットを組んだ
「ワイズ・イン・タイム」です。
マギーとエドワーズが初めて出会ったのは1945年。
マギーがコールマン・ホーキンス(ts)のバンド・メンバーとして
カリフォルニアを訪れた時でした。
意気投合した二人はこの時から共演を重ねるようになります。
その後、二人は西海岸と東海岸で離れて活動するなど、
距離を置いてしまうのですが、
1961年には「リユニオン・セッション」を
コンテンポラリー・レーベルに残して話題になりました。
今回ご紹介する作品は、それから更に18年を経た
1979年、ジャズ・クラフト・レーベルに吹き込まれた
再会セッションです。
ここでの二人には往年の力強さはありません。
マギーは還暦を過ぎ、エドワーズは50代半ばです。
しかし、この作品には「いい大人」が
お互いの円熟の技を披露するという、喜びが溢れている。
そこに何とも言えない魅力があります。
1979年10月、カリフォルニアでの録音。
Howard McGhee(tp)
Teddy Edwards(ts)
Art Hillery(p)
Leroy Vinnegar(b)
Billy Higgins(ds)
私が持っているのは1998年に
ストーリービルから再発されたCDですので、
これに沿って曲を紹介します。
①I Want To Talk About You
ジョン・コルトレーン(ts)の演奏で有名な曲ですが、
あのテンションの高いプレイとは全然違います。
マギーとエドワーズらしく、もう少しだらしないというか
泥臭い味わいが何とも微笑ましい感じです。
それでもメロディ部でエドワーズはコルトレーンの
影響をちらっと感じさせるのですが、
マギーが入ると、もうそこは別世界。
枯れた大人の雰囲気が充満します。
エドワーズもソロではマギーに押されたのか?
モゴモゴしたプレイ。
普通なら冒頭一曲目は
二人の再会を祝して高速ナンバーで
飛ばすところでしょうが、
いきなりバラードでしっとりくるところが
個人的には好きです。
④Ruby, My Dear
この曲にしては珍しい、ホーンの静かなイントロの後、
テナーとトランペットによるメロディの合奏が。
基本的にトランペットがリードしていますが、
何とも穏やかでいいムードです。
ソロはエドワーズから。
彼らしい、くぐもった音色から、
徐々に泣きが入る展開が面白い。
マギーはひたすら抑えたプレイで、
しっとりと吹いていきます。
こういうのがつくづくよく似合う人です。
⑨On A Misty Night
タッド・ダメロンが作曲したナンバー。
ここでのマギーはミュートをつけてプレイしています。
スインギーなリズムに乗って、
泣きだしそうな音色を吹いていくところに
趣があります。
エドワーズは少しデクスター・ゴードン似の
男性的で荒っぽい音色で勝負。
この「ざらついた」感じもいいものです。
正直、この作品での二人は特に新しいことはしていません。
それでも、心穏やかに聴ける安定感がありますし、
音楽に寄せる深い愛情も窺えます。
推察ですが、二人はお互いの「いま」を尊重し、
その範囲で、できるだけのプレイをしたのではないでしょうか?
こんな歳の取り方をして友人と再会できたらいいな、
と思わせる一枚です。
