つい先ほどまで、休日出勤で仕事をしていました。
上司から細かい手直しを命じられ、やや疲れました。
世の中に目を転じると、
どんどん増えてくる新型インフルエンザの感染者。
滅入るような気分になってしまいます。
家に帰ってきて、ちょっとリフレッシュしたくなりました。
さりとて、夜中に大音響でジャズをかけるわけにもいきません。
そんな時、小さな音でもそれなりに柔らかい雰囲気を出せるのが
「ウィズ・ストリングス」ものです。
ジャズでも弦楽器を加えた作品は数多くあるのですが、
若い時の私はこうしたものを「甘過ぎる」と感じて敬遠していました。
優しい弦の調べが入ると、ジャズというより「ムード音楽」に
聴こえたのです。
「ジャズは火花の散るようなアドリブこそが命だ!」と信じていた若者には、
アレンジの比重が大きい「ウィズ・ストリングス」は物足りなくもありました。
それが、年齢と共に幅が広がったのか、「こういうのもいいな」と
思えるようになってきました。
「甘いものは甘いなりに味わえばいい」と感じるようになったのは
進歩なのか退歩なのか・・・・・
ただ、それでも私なりに譲れない点があります。
「弦のアレンジは甘くても、リズムは辛めに」というものです。
両方甘いと、さすがに緊張感がなさすぎて、
聴いても寝てしまうからです。
最近入手した中で、この条件をクリアしていたのが
「ジャマル・アット・ザ・ペントハウス」です。
ピアニストのアーマッド・ジャマルが自己のトリオを率い、
ストリングスと組みました。
この当時のジャマルはゴリゴリ弾くタイプではありません。
かなり「間」を重視し、音数も多くない。
それゆえにマイルス・デイヴィス(tp)からも
注目されていました。
そんな彼がストリングスと組むと、
「甘さに流れる」可能性があります。
そんな懸念を振り払うのが、ドラムのヴァーネル・フォーニアです。
非常にサクサクした切れのいいドラムを叩き、
時には「ストリングスもの」とは思えないほど暴れています。
おかげで、アレンジは非常に優雅で古い映画音楽のようですが、
トータルのサウンドは立派なジャズになっています。
1959年2月、NYで録音。
Ahmad Jamal(p)
Israel Crosby(b)
Vernell Fournier(ds)
ストリングスのアレンジと指揮は Joseph Kennedy です。
①Comme Ci, Comme Ca
この作品のストリングスとトリオとの関係を
実によく表したトラック。
冒頭、ブレイクを多用するトリオ。
あたかも一つの楽器のような一体感があります。
そこにもう一つの楽器のように絶妙にからむストリングス。
その息の合い方と、トリオとストリングスの
「対等感」にぐっと引きつけられてしまいます。
ストリングスと小節交換をしながら進む展開でも
フォーニアのドラムがパシパシと歯切れのいいリズムを
刻むので、甘さに偏ることはありません。
まさに「リズムの辛さ」が生んだ快演です。
②Ivy
フォーニアのドラムによるラテンのリズムが楽しい一曲。
ここでのストリングスは①よりはるかに甘く、
要所要所で「音のじゅうたん」を敷いていきます。
しかし、フォーニアがトムトムで「トコトコ」リズムを繰り出し、
絶妙なアクセントをつけているので、
そのノリで聴き入ってしまいます。
ジャマルのピアノはラテンリズムによく合うようで、
時に低音をまぶしながら躍動感あるソロを展開しています。
④Tangerine
これはフォーニアのドラムが抑制しつつも
パワーを発揮したトラック。
メロディはストリングスが大活躍で、
本来ならムードたっぷりなのでしょうが、
フォーニアのブラシが歯切れよく、
時に力のこもったショットがバシッと決まります。
こうなると、もはや「スリリングなジャズ」です。
ピアノもドラムの勢いに押されてかノリがよく、
最後まで衰えません。
アレンジは全体的に非常に凝っていますが、
それが嫌みにならない気持ちのいいサウンドです。
ストリングスによる「典雅な気分」を味わいつつ、
ジャズのスイング感も堪能しました。
夜中のひと時、生まれ変わるような時間を味わえれば
明日もがんばれるというもの・・・・・。
そろそろ寝ます。おやすみなさい。
