先日、国産ロケットH2Aに積まれた
人工衛星についてのニュースを見ました。
今回、いろんなところが作った人工衛星があったんですね。
大阪の中小企業団体とか、大学、高専まで。
最終的には「宇宙開発のプロ」による手が相当入ったのでしょうが、
何にせよ、多くの人たちが宇宙への夢を持てるようになったのはいいことです。
人工衛星から送られてくる電波を地上で受ける作業も始まっているようです。
将来は「宇宙との交信」も手軽にできるようになるのでしょうか。
実は、ジャズマンの中にも「宇宙との交信」をしている、
と思われるミュージシャンがいます。
サックス奏者のウェイン・ショーターです。
残念ながら詳細を忘れてしまったのですが、
あるジャズ雑誌の記事でハービー・ハンコック(p)が
「ウェインは宇宙と交信できると言っている。時々会話もしているみたいだ」
といったようなことを語っていました。
これを読んで「なるほど!」と思ったのは私だけではないでしょう。
ウェイン・ショーターは早くから、独特のダークな音色と、
モードジャズに近い、ちょっと変わったノリを持っていました。
その個性をどこで身につけたのかと、長い間、疑問に思っていましたが、
おそらく彼の宇宙やSFへの関心が背景にあるのでしょう。
私はショーターの暗い音色がそれほど好きではないのですが、
ずっとスタンダードなジャズを聴いていると、年に数回、
無性にショーターを聴きたくなります。
何か「得体の知れない」ものに触れたくなることって、ありますよね。
「なんでこんなフレーズが出てくるんだ?」と首をかしげながら、
宇宙的なノリを楽しむのがショーターの聴き方かと思います。
今回ご紹介する「アダムズ・アップル」は4ビートを基調にしながら
ショーターのおかしなノリが聴ける作品です。
録音された1966年、ショーターは32歳。
既にマイルス・デイヴィスのグループに参加していました。
Wayne Shorter(ts)
Herbie Hancock(p)
Reginald Workman(b)
Joe Chambers(ds)
今回は、私が聴いていて「宇宙的な世界」を感じる④~⑥を
ご紹介しましょう。
LPならB面にあたります。
全てショーター作曲のオリジナルです。
④Footprints
ショーターが作曲した中でも、最も有名な曲でしょう。
これを聴くと、私はいつも暗い月面につけられた足跡を
想像してしまいます。
それだけ、別世界を感じさせるメロディです。
ピアノとベースが反復を繰り返す中、立ち現れるダークな
テナーサックス。
既に普通のハードバップとは全く違う響きです。
ソロでは力を込めて吹いていますが、不思議と熱さを感じません。
それよりも波を広げていくような、独特の展開に引き付けられます。
やはり、「宇宙人」なのでしょうか。
⑤Teru
バラッドですが、通常のスタンダードとは全く違う響きを持った
現代的な曲です。
テナーサックスでありながら、後のソプラノにも通じる、
細く・繊細な音色で静かにメロディを吹いていきます。
ここにもショーターの新しいセンスを感じます。
ソロも単純に「山」を作って劇的に盛り上げていくという構成ではなく、
平板に横に広がるフレーズを多用して、
静寂の世界に誘い込んでいくという、驚くべきものです。
メロディとソロが混然一体となった不思議な世界です。
⑥Chief Crazy Horse
フレーズの繰り返しが続くメロディ。
モード奏法を完全に消化しているショーターのプレイが聴けます。
ここでのソロは渦を巻くようで、徐々に上昇していくかのような
不思議な感覚を覚えます。
続くハンコックのソロも同様で、時々、フレーズが循環しているような
気がしてしまいます。
単純な構成に終わらない、新しい組み立て方が聴けます。
やはり、「ウェイン・ショーターは宇宙人である」という結論になってしまいそうな
このアルバム。
後に「ウェザー・リポート」でクロス・オーヴァーを牽引することになるのも
うなづけます。
「地球の外に広がる何か」を感じたいときに聴いてみるといいかもしれません。
そういえば今年は「世界天文年」でした。
