ボストン・ブロー・アップ/サージ・チャロフ | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

Boston blow-up!


いやあ、寒いですね。

札幌出身の人が何言ってるんだ、

東京の寒さなんて大したことないだろ、と言われそうですが、

それがそうでもないのです。


ご存知の方もいるかもしれませんが、

北海道は冬でも屋内は非常に暖かいのです。

暖房器具、住宅の断熱仕様が充実していて、

室温が20度以上なんてザラです。

ストーブをがんがん使ってというのは

地球に優しくないかもしれませんが、

屋外の白い世界を見ながらあったかく過ごすというのは

北の大地での何よりの楽しみです。


それに引き換え、本州の家は寒すぎる!

すきま風が本当に冷たいです。

乾燥するのでエアコンで暖房するのが嫌いな私は、

ますます寒い思いをすることになってしまいます。

風邪ひきさんが周りにも非常に多いのですが、

私は医療費抑制と、実のある景気対策として、

本州の住宅に断熱材を入れることを推進するよう、

政府に提案します(採用してもらえないでしょうが・・・)。


しかし、実際に寒い家にいる限りは、

心だけでも温かくしなければなりません。

それには,やはりホーンによるバラッドです。

今回は、バリトン・サックス奏者のサージ・チャロフによる

「ボストン・ブロー・アップ」を取り上げましょう。


チャロフは1923年、ボストンに生まれました。

数々のビッグ・バンドで活躍し、1949年~51年にかけては

ジャズ雑誌「ダウンビート」でバリトン奏者として1位に選ばれるなど、

順調にキャリアを重ねていました。

しかし、その後、人気者ジェリー・マリガン(bs)の登場で、

影が薄くなってしまったことは否めません。

残念ながらがんのため、33歳の若さで亡くなってしまい、

人気を挽回することもできませんでした。


「ボストン・ブロー・アップ」では、

多くの曲がセクステットで演奏されており、

それらはまあ、普通の出来です。

しかし、基本的にチャロフがワン・ホーンでバラッドを吹いている

2曲については、音が異常に濃密で、

尋常ではない雰囲気が漂っています。

この2曲のために聴くべきですし、買うべき作品です。

その凄さを文字にできる自信はないのですが、

若くして亡くなった才能を「紹介することに意義がある」と

割り切って書いていきます。


1955年の録音。

メンバーは以下の通り。


Herb Pomeroy(tp)

Boots Mussulli(as)

Serge Chaloff(bs)

Ray Santisi(p)

Everett Evans(b)

Jimmy Zitano(ds)


④What's New

ピアノの短いイントロの後に入ってくるチャロフ。

ヴィブラートをきかせながらの、しっとりとした入り、

と思った次の瞬間、重たい音でざくっと切り込んできます。

しかし、情感豊かな世界は、その重い音でも乱されることがなく、

むしろ、その説得力に耳が釘付けになります。

あのバリトンにこれだけ「息を吹き込み」、

緊張感があふれながらも深い音世界を作った人がいるでしょうか。


⑦Body And Soul

今度は最初から重たい音で迫ってきます。

バラッドでありながら爆発するかのようなエネルギーを秘めた

イントロから、メロディに移る展開が見事です。

メロディでの「太く、繊細な音」という、相反するものが同居した世界は

彼ならではのものでしょう。

全ての音に彼のエモーションが詰まっている。

名演です。


いつ聴いてもノック・アウトされるチャロフのバラッド。

これに心熱くならない人は、あまりいないでしょう。

心が冷たくなったとき、赤いジャケットと共に

温まるのにもってこいの一枚です。