ワイルド・キトゥン/ジョー・ピューマ | スロウ・ボートのジャズ日誌

スロウ・ボートのジャズ日誌

ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

Wild Kitten


激しい二日酔いです。

頭がガンガンします。

昨夜は我が職場の忘年会。

勤務シフトがバラバラのため、

チームみんなで飲みに行くことがほとんどない私の職場。

今年1年の苦労を分かち合うべく、飲みだしました。

いいところで帰ろうと思ったのですが、

遅い時間帯の勤務の人が後から加わってきたりして、

結局、終わったのは朝4時。

正直、最後の店で何を話していたのか、ほとんど覚えていません。


こんな時は、B級で、室内楽的なジャズぐらいがちょうどいい。

そんなわけで取り出したのが、

ギタリストのジョー・ピューマの作品「ワイルド・キトゥン」。

ギター、アコーディオン(!)、ベース、ドラムという異色編成で、

「流して聴くのがいい」ぐらいの、しかし中身は確かな演奏を

展開しています。


リーダーのジョー・ピューマはそれほど有名でもないので、

ちょっとご紹介しましょう。

1927年にニューヨーク州に生まれた彼は、40年代後半から

プロとして活躍を始めました。

サイ・コールマンやルイ・ベルソン、アーティ・ショーのバンドなどで

サイドを務めたり、ペギー・リーの歌伴もしています。

自己のバンドや、チャック・ウェイン(g)との2ギター編成でも活躍。

「地味だけど根強いファンのいる」代表格といったところでしょうか。

2000年に亡くなるまで、長きにわたって活動していました。


「ワイルド・キトゥン」も長年、愛されてきた作品です。

1957年2月、NYでの録音。

メンバーは以下の通り。


Joe Puma(g)

Mat Matthews(accordion)

Oscar Pettiford(b)

Whitney Mitchell(b 2,3,4,7で参加)

Shadow Wilson(ds)


②Polka Dots And The Moonbeams

ピューマのギターはシングル・トーンを生かした、

流れるようなフレーズに特徴があります。

ここでは、2分40秒ほどの短い演奏で、

有名なスタンダードのメロディーと、

わずかなアドリブだけを弾いています。

いたってシンプルなプレイですが、

愛おしげにメロディーを弾いているのが伝わってきます。

ラストの流麗なプレイも見事。

こんなところに人気の秘密があるのかなと思えてきます。


⑤Wild Kitten

マット・マシューズ作曲のオリジナル。

このバンドの良さが一番出たトラックだと思います。

オリジナル・ライナーでピューマ自身が

「スモール・グループに必要なのはシンプルさとまとまりだ」

と述べていますが、それが実現しているからです。

タイトルにある「Kitten」とは子猫のことですが、

猫が飛び跳ねているかのようなユニークなメロディに続く

ピューマのソロが小気味いい。

シングル・トーンでよく歌うギターのバックで、

マシューズのアコーディオンがざわざわとした(?)

音を響かせます。

オルガンとも違う不思議なバックのつけ方です。

続くマシューズのソロは音を伸ばしたり、

ぶつぶつ切ったりできるアコーディオンの特性を生かしたもので、

独特の世界を楽しむことができます。

オスカー・ぺティフォードの重量感あるベースも聴きもの。

気がつけば、この演奏はドラムレス。

ギター、アコーディオン、ベースによるトリオなのですが、

強烈なスイング感に、ドラムの不在は全く気になりませんでした。


⑧Rosalie Ann

ピューマが作曲したブルース。

冒頭のギターのみのイントロから、

彼の職人的な渋さがよく出ていて引き込まれます。

ソロでは素早いフレーズもあり、

高度なテクニックを持っていることが分かるのですが、

さらりと流しているので、何気なく聴こえてしまいます。

そこが彼の本当のすごさなのかもしれません。


二日酔いはまだ抜けませんが、気分は良くなってきました。

「俺が、俺が」と出しゃばらないジャズが、

飲み過ぎの後にはいいようです・・・・・