A boy named Charlie Brown /ビンス・ガラルディ       | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

A boy named Charlie Brown



草野球のマウンド?で何かを考えているチャーリー・ブラウン。

このジャケットを見てしまうと、どんなジャズが展開されているのか?

と想像を膨らませて、ついついCDを買ってしまうのが

ジャズ・ファンというものでしょう。


この作品は通常のジャズ・アルバムとは異なる経緯で作られています。

アメリカのCBSテレビが、漫画「ピーナッツ」の作者

チャールズ・シュルツのドキュメンタリーを制作した際に、

サウンド・トラックとして録音したものをまとめているからです。


リーダーを務めるビンス・ガラルディ(p)はサンフランシスコの出身。

カル・ジェイダーのラテン・ジャズ・バンドなどで活躍したようです。

その後、「ピーナッツ」のテレビシリーズで音楽を担当しました。

その縁でドキュメンタリー番組の音楽も作ることになったようで、

ほとんどが彼のオリジナルです。

私の持っている輸入盤には録音年月日がはっきり記されていませんが、

ガラルディは1976年に48歳という若さで亡くなっているので、

当然、録音はその前ということになります。


このアルバムで、ミュージシャンの評価はなかなかできません。

というのは、「ガラルディの世界」というより、「ピーナッツの世界」が

展開されているからです。

個性豊かな子供たちやスヌーピーがとぼけた味わいを見せたり、

時にはっとするようなシニカルな表現をする漫画。

その世界に迫る番組につけられた音楽であれば、

自己主張よりも、漫画の風景を優先するのは当然のことです。

その「割り切り」がこの作品をユニークなものにしています。


①OH, GOOD GRIEF

チャーリー・ブラウンのすっとぼけた悲しみを描いた一曲、

と勝手に想像しました。

ユーモア感覚あふれる曲で、

ミディアムテンポで心地よくピアノがスイングします。


③HAPPINES IS

意味深なタイトルですが、曲は難しいところのないスローなワルツ。

スヌーピーが犬小屋の上で寝転がりながら

「幸せって・・・」とつぶやいている光景が浮かんできそうです。

全然違う文脈で作られた曲かもしれませんが、

こんなことを空想できるのがこの作品の良いところです。


④SCHROEDER

漫画の中で天才音楽家として描かれているシュローダー。

ガラルディは2分に満たないピアノ・ソロを弾いています。

この曲、少年への敬意と温かいまなざしが注がれているようで、

私は好きです。


⑦Blue Charlie Brown

漫画のテーマ性が高い本作の中で、

一番ガラルディの「ジャズ・ピアニスト」としての側面が出た

一曲だと思います。

ブルージーで力強く、時にアーシーなタッチも聴かせます。

他のトラックのほんわかした味わいとは明らかに異なる一曲、

ピアニストとしての「我」をちょっとだけ出したくなったのでしょうか。


漫画とジャズ。

結びつかなさそうなものが幸せな出会いをしているこの作品、

チャーリー・ブラウンやスヌーピー、ウッドストックらを思い浮かべながら、

休日の昼間にゆったり聴くのがいいでしょう。