何だか急に涼しくなってきました。
きょう、帰宅する時、強い風が吹いていたのですが、
ちょっと冷たさを帯びていて、秋を感じました。
まだ日中の気温は高いですが、
確実に季節は移り変わっているようです。
秋になると聴きたくなるのが女性ヴォーカル。
なぜなのかよく分らないのですが、
やはり温もりが欲しくなるのでしょうか。
取り出したのはヘレン・メリル(vo)の作品。
先日、彼女の「さよならコンサート」が東京で行われましたが、
私は仕事で行けませんでした。残念・・・・
独特のハスキー・ヴォイスが魅力の彼女ですが、
技術を磨くにあたってホーン奏者から多くを学んだそうです。
そのせいか、彼女はいつもバンド全体のサウンドをとても大切にし、
歌うにあたって、各奏者のソロに強く影響を受けているように思えます。
この作品も、普通の歌手ならありえない豪華なバックがついています。
長くなりますが、メンバーを書いていきましょう。
Thad Jones(cor)
Hubert Laws(fl)
Gary Bartz(as)
Dick Katz(p,Arrangements)
Jim Hall(g)
Richard Davis(b)
Ron Carter(b)
Elvin Jones(ds)
誰がリーダーになってもおかしくない、すごい人たちばかりです。
彼らみたいな人たちがバックにつくと、緊張してしまいそうですが、
そこはさすがヘレン・メリル、ミュージシャンとの会話を楽しんで
余裕の歌声を聴かせます。
バンドとしての完成度と、ヴォーカルの充実ぶりが素晴らしい佳品です。
いくつかおススメ曲を。
③Never Will I Marry
メリル、サド、ロウズ、カッツ、ホール、カーター、エルヴィンによる演奏。
このアルバムを通じ、この編成が一番「しっくり」いっているように
私には思えます。
おそらく、カッツのアレンジが生きる組み合わせなのでしょう。
ピアノ、フリューゲルホーン、ギター、フルートが折り重なる
凝ったイントロから、「何かが始まる」という予感がしてしまいます。
続くメリルのリラックスしながらもしっとりとしたヴォーカルも快調。
ブレイクを何度かはさむ、凝ったバックにも難なくついていき、
「音楽的」なノドを披露します。
ホール~サドの渋いソロの後、カッツのソロが続きますが、
ここでのギターやフルート、フリューゲルホーンの絡み方がうまい!
おしゃべりが絶妙な音楽になってしまったかのようなこの演奏、
アルバムのハイライトの一つです。
④I Should Care
メリル、カッツ、ホール、カーター、エルヴィンの編成。
ここではメリルのかすれた声を生かした、
ちょっとだけ粘着性のある歌唱が聴きもの。
メリルによるスロー・バラードから、
バンドによるスインギーな演奏へ転換し、
ギターやピアノのソロについないでいくという構成も
素晴らしいものです。
ここでも、ブレイクを随所で生かしたアレンジがあります。
よくこんな大胆なことをさりげなくできるなと感心しきりです。
⑧My Funny Valentine
メリルとカーターのデュオ!
この超有名曲をヴォーカルとベースの組み合わせで、
しかも全く違和感なくできてしまうとは・・・・感服です。
二人とも無駄な音を発さず、つかず離れずの間合いでプレイしています。
途中、「Are you smart?」の歌詞のところでベースがテンポアップし、
グルーブ感が増す展開など、すごいよなぁ・・・
ジャズを聴いてて良かった。
1968年の録音。
全体に知的な雰囲気もあるのは、カッツのアレンジのせいでしょう。
実は、このアルバムには演奏者がかなりダブっている
「The Feeling is Mutual」(1965年録音)という名作があります。
ここでもカッツがアレンジをしているので、
興味のある方は聴き比べてみてください。
私はどちらも聴けて幸せです。
