昨夜、満月を見ました。
「中秋の名月」ですね。
三軒茶屋を歩いているときに、狭い都会の空の上で、
赤みがかった月がぽっかりと浮かんでいました。
夜でも明るい東京では、月や星を身近に感じていなかったので、
何だかとても新鮮でした。
月にちなんだ曲はいろいろありますが、
名演の一つがここに収録されている「ヴァーモントの月」でしょう。
アルバムの原題は「ジョニー・スミス・クインテット」と
何とも素っ気ないのですが、邦題にはこの曲名が使われています。
さすがレコード会社の方、一番の聴きどころが分かっていらっしゃる。
リーダーのジョニー・スミス(g)は主に1950年代から60年代にかけて
活躍した人ですが、活動休止期間があったり、
最後は故郷に引っ込んでしまったということもあり、
「歴史的なプレーヤー」とはされていません。
しかし、彼の流れるようなフレーズ、よく歌うシングルトーンが大好きで、
私は彼の作品全てを集めたいと思っています。
このアルバムを一緒に聴いてくれた人は「ハワイの音楽に似てる」(!)
と言っていました。
なるほど、今までそんなことは考えてもいませんでしたが、
スミスの柔らかい音色には時としてハワイアンっぽい響きもあります。
私も当初、その柔らかさに引かれました。
ただ、それだけに止まらず、
時に超絶的な技巧や切れ味をみせることもあり、
初心者から長年のリスナーまで満足させてくれるところが
彼のすごさでしょう。
③ヴァーモントの月
スミスの奏でるメロディーが何とも印象的なバラード。
ヴァーモントの月明かりに照らされた恋人たちを歌った曲ですが、
ここではスタン・ゲッツ(ts)が加わり、印象的なトラックになっています。
聴きものはゲッツのソロの後に「柔らかく・鋭く」切り込んでくるスミス。
この二つの修飾語が同時に成り立つのは彼ぐらいではないでしょうか。
ラスト、曲が終わる寸前にも同じ「鋭さ」があります。
それでいてロマンチック。天才です。
⑥テンダリー
多くのミュージシャンが演奏していますが、
このメロディーをコードでここまで美しく奏でた例もないでしょう。
ここでは音の「余韻」が聴きどころです。
ギターは「弾いてから」が大切なことが分ります。
⑧ヴィリア
心温まるメロディ。作曲はFranz Lehar。
知らない人ですが、50年代アメリカ映画のヒューマン・ストーリーなどに
でてきそうなこの曲は、うれしい「拾いもの」という感じがします。
スミスのギターはバラードと違って気持ちよくスイスイと進みます。
こういうプレイもとても魅力的です。
短いズート・シムズ(ts)のソロもあったかくて良い。
その他にも良い曲がたくさんあります。
スミス自身が有名ではなくても、スタン・ゲッツなどの参加で
この作品は手に入れやすくなっています。
ぜひ一度聴いてみてください。
そして気に入ったなら、
レコード会社に「ジョニー・スミス再発」を働きかけ、
より多くの作品を楽しめるようにしましょう。
彼の作品については、またどこかで触れたいと思います。
