ライブ・アット・ザ・ノースシー・ジャズフェスティバル/ジム・ホール、ボブ・ブルックマイヤー | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

ノースシー・ジャズフェスティバル


ジム・ホール(g)がボブ・ブルックマイヤー(tb)と作り上げた

もう一つの「アンダーカレント」。


ジャズ・ファンならばジム・ホールがビル・エヴァンス(p)とデュオを組み、

名作「アンダーカレント」を作ったことはご存じでしょう。

↓ジャケットも有名なこれです。


アンダーカレント



異色の楽器の組み合わせながら、見事なインタープレイが記録された

歴史的な名作です。


今回ご紹介するのは、そこまでの傑作とは言えないながら、

巨匠の二人が共通の友人・エヴァンスの傑作を(たぶん)意識しつつ、

デュオにトライしたという、愛すべき作品です。

実際、選曲が「アンダーカレント」とけっこうダブっています。


①スケーティング・イン・セントラルパーク

「アンダーカレント」でも実は一番人気がある(?)この曲が

冒頭に来ています。

ボブ・ブルックマイヤーがいつもの「ボーッ」とした音で

優しくメロディを吹いていきます。

この人の切れ味はないながらも柔らかい音色、

トロンボーンらしくて私は大好きです。

ブルックマイヤーのソロに続くジム・ホールは、

曲のリズムから離れそうで離れない、複雑ながら音楽的という、

不思議なソロをとっていきます。

ブルックマイヤーの「相の手」やホールのバックも巧みで

(エンディングでのバックのつけ方は特に素晴しい!)、

見事なインタープレイとなっています。


②アイ・ヒア・ア・ラプソディー

これも「アンダーカレント」で取り上げられている曲です。

当初、ホールがメロディの断片を交えた

抽象的なイントロを演奏をします。

ブルックマイヤーも加わって、対話をするような

形が続きます。

ライナーノートではバッハの対位法の影響を挙げていますが、

なるほどという感じです。

やがてブルックマイヤーのメロディーから本格的に曲に

入っていきますが、①のリラックスした雰囲気に比べると、

ここでの二人は熱気を帯びてきます。

本作の中でも「ガチンコ勝負」のトラックでしょう。


④ボディ・アンド・ソウル

ここでの聴きものはやはりホールか。

ブルックマイヤーが朗々と吹く中、バックのつけ方が

本当にうまい!

時に4ビート的なリズム、時に背景の空間を広げるカッティング、

やっぱり相手の演奏をちゃんと聴いているんですね。

ソロではシングル・トーンで浮遊感のある演奏をしたかと思えば、

やがて速度を落としてメロディーをまぶしてまとめ、

最後にメロディー本編につなげるという展開力もすごい。

脱帽です。


⑤イン・ア・センチメンタル・ムード

ブルックマイヤーがいい味を出しています。

きっと曲調と、ここで選択したリズムが彼にちょうど合っていたんでしょう。

やや無骨とも言える音色がここでは好ましく聞こえ、

ソロが終わると観客が大きな拍手を送っています。

メロディー部分での二人の息のあったところも聴きものです。


⑧セント・トーマス

最初のイントロ、いったい何の曲が始まったの?と思わせて

さりげなくメロディーに入っていくところが、

「さすがベテラン」と感心してしまいます。

ここでのホールはすごい!

解体したメロディーを織り交ぜたり、ウィンとうならせてみたり、

コードの連続で緩急をつけたりと、まさに変幻自在。

知的な風貌ですが、頭の中で鳴っている音楽は

相当過激なのでは・・・・・。

改めてその才能に感服です。


結果的に、「アンダーカレント」とは全く違うタッチの作品になっています。

もちろん、二人はこの傑作を意識しつつも、

全然別のものを作ろうとしていたのでしょう。

その思いきりのよさ、新しいことへの挑戦の意欲があふれていることが

この作品の魅力となっています。


1979年の録音。

2か月ほど前、吉祥寺のディスクユニオンで購入しましたが、

その後売場で全く見かけません。

人気があるのか、ないのか?

個人的にはジャズの対話を楽しむ盤としておススメです。