ジャケットと内容が全然合わない作品がありますが、
これもその一つ。
このデザインじゃ、どうしようもない中身だと思って
誰も買わないでしょう。
デジカメ写真とありあわせのデザインパターンがあれば、
私でもパソコンで作れそうなジャケットです。
しかし・・・内容がいいのです!
リリカルな白人系ピアノが好き、でも軟弱すぎるのはちょっと・・・
という方がいたら、買ってみてください。
2008年3月録音という近作、このところのピアノトリオの中では
大きな収穫でした。
リーダーのデビッド・レオンハート(p)は、この作品で初めて知りました。
ライナーを読むと、もう35年にわたってプロで活躍している
ベテランのようです。
これまで共演してきた人も、べニー・カーターのオーケストラから、
デビッド・リーブマン、スタン・ゲッツ、ジョン・ヘンドリックスと幅広いのですが、
ひょっとすると汎用性が高いがゆえに、
これまで強烈な個性を打ち出せずにいたのかもしれません。
この作品の素晴らしいところは、全体を通して曲がいいことです。
12曲中、レオンハートのオリジナル曲が6つで、半分を占めています。
残りはいくつかロックから持ってきているのですが、
その解釈がうまい。
大体、ロックやポップスに題材を得たジャズは失敗するのですが、
ここでの取り上げ方を聴くと、
「ここまで現代的なセンスを持ったジャズマンが出てきたか・・・・」
と感慨深くなります。
では、曲のご紹介です。
①Whispers of Contentment-Shouts Of Joy
冒頭を飾るにふさわしい喜びにあふれた曲。
レオンハートのオリジナルです。
カントリー・ミュージックを彷彿させる素朴さがあり、
キース・ジャレットの「My Song」(ECM)でのプレイを
思い出してしまうところもあります。
若手のドラム、ベースが複雑なリズムを難なくまとめ、
いまのジャズもいいなと思わせてくれます。
②While My Guitar Gently Weeps
ビートルズのジョージ・ハリスンが作った名曲。
私はビートルズも大好きなのですが、
彼らの曲は世界が確立されていて、
メロディーは崩しにくいし、自由なアドリブにも
つなげにくいものばかりだと考えています。
これまでのジャズの「ビートルズ集」も、
ほぼ全てが泣きたくなるか笑いたくなるかのどちらかです。
しかし、このトラックは違う。
曲の凛とした雰囲気は保ちながら、
鮮やかに「ジャズ」にしているのです。
ソロは短いですが、曲に発想を得て、
控えめでいながら抒情あるプレイとなっています。
ビートルズファンをも唸らせる内容ではないでしょうか。
③ユア・ソング
これもご存じ、エルトン・ジョンの大ヒット作です。
②と比べ、こちらの方が4ビートに合わないような気がするのですが、
要所に4ビートが織り交ぜられ、立派なジャズ~ポップス(?)に
なっています。
こうした曲を無理せずに、本当に好きで楽しんで演奏している感じが
伝わってきます。
⑦ウィンター・ワルツ
レオンハートのオリジナル。
冬の日中をイメージした曲でしょうか。
晴れて、空気が張りつめているけど、不思議と寒さは感じない。
北国にいる人には何となく分ると思いますが、
冷え込んでいても「自然の優しさ」を思うときがあります。
たぶん、そんな情景をイメージした曲ではないかと私は勝手に
想像しています。
ミディアム・テンポが心地よいワルツです。
いま活躍しているジャズマンもがんばっている。
こういう愛すべき作品がもっと出てくることを望みます。
