エクスプロレーションズ/デビッド・レオンハート・トリオ | スロウ・ボートのジャズ日誌

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ジャズを聴き始めて早30年以上。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。

デビッド・レオンハート



ジャケットと内容が全然合わない作品がありますが、

これもその一つ。

このデザインじゃ、どうしようもない中身だと思って

誰も買わないでしょう。

デジカメ写真とありあわせのデザインパターンがあれば、

私でもパソコンで作れそうなジャケットです。

しかし・・・内容がいいのです!

リリカルな白人系ピアノが好き、でも軟弱すぎるのはちょっと・・・

という方がいたら、買ってみてください。

2008年3月録音という近作、このところのピアノトリオの中では

大きな収穫でした。


リーダーのデビッド・レオンハート(p)は、この作品で初めて知りました。

ライナーを読むと、もう35年にわたってプロで活躍している

ベテランのようです。

これまで共演してきた人も、べニー・カーターのオーケストラから、

デビッド・リーブマン、スタン・ゲッツ、ジョン・ヘンドリックスと幅広いのですが、

ひょっとすると汎用性が高いがゆえに、

これまで強烈な個性を打ち出せずにいたのかもしれません。


この作品の素晴らしいところは、全体を通して曲がいいことです。

12曲中、レオンハートのオリジナル曲が6つで、半分を占めています。

残りはいくつかロックから持ってきているのですが、

その解釈がうまい。

大体、ロックやポップスに題材を得たジャズは失敗するのですが、

ここでの取り上げ方を聴くと、

「ここまで現代的なセンスを持ったジャズマンが出てきたか・・・・」

と感慨深くなります。


では、曲のご紹介です。


①Whispers of Contentment-Shouts Of Joy

冒頭を飾るにふさわしい喜びにあふれた曲。

レオンハートのオリジナルです。

カントリー・ミュージックを彷彿させる素朴さがあり、

キース・ジャレットの「My Song」(ECM)でのプレイを

思い出してしまうところもあります。

若手のドラム、ベースが複雑なリズムを難なくまとめ、

いまのジャズもいいなと思わせてくれます。


②While My Guitar Gently Weeps

ビートルズのジョージ・ハリスンが作った名曲。

私はビートルズも大好きなのですが、

彼らの曲は世界が確立されていて、

メロディーは崩しにくいし、自由なアドリブにも

つなげにくいものばかりだと考えています。

これまでのジャズの「ビートルズ集」も、

ほぼ全てが泣きたくなるか笑いたくなるかのどちらかです。

しかし、このトラックは違う。

曲の凛とした雰囲気は保ちながら、

鮮やかに「ジャズ」にしているのです。

ソロは短いですが、曲に発想を得て、

控えめでいながら抒情あるプレイとなっています。

ビートルズファンをも唸らせる内容ではないでしょうか。


③ユア・ソング

これもご存じ、エルトン・ジョンの大ヒット作です。

②と比べ、こちらの方が4ビートに合わないような気がするのですが、

要所に4ビートが織り交ぜられ、立派なジャズ~ポップス(?)に

なっています。

こうした曲を無理せずに、本当に好きで楽しんで演奏している感じが

伝わってきます。


⑦ウィンター・ワルツ

レオンハートのオリジナル。

冬の日中をイメージした曲でしょうか。

晴れて、空気が張りつめているけど、不思議と寒さは感じない。

北国にいる人には何となく分ると思いますが、

冷え込んでいても「自然の優しさ」を思うときがあります。

たぶん、そんな情景をイメージした曲ではないかと私は勝手に

想像しています。

ミディアム・テンポが心地よいワルツです。


いま活躍しているジャズマンもがんばっている。

こういう愛すべき作品がもっと出てくることを望みます。