新宿2丁目
ネオンなんかには興味がなかった。そんなものはもう見飽きている。新宿駅の方向はここ何年かみつづけたものがたくさんあるような気がして、あえて反対方向の路地を歩き始める。たくさんの人とすれ違った。かわいいおっぱいがおおきな20前後の女の子は一人もいなかった。むしろ女の人を見かけた記憶はない。新宿公園とかかれた小さな公園ではカップルがキスをしている。男同士だった。背筋に冷たいものが走り、急にお尻が引き締まる。
刺激を求めることはいいことだ、禁断の扉を開こう、そう、開くんだ、そう呟いて公園の中に足を踏み入れる。そんなに大きな公園ではないのでいっせいにゲイのカップルどもが目を向けてくる。オレのオチリの穴はお前のポコポコを呼んでいるぜ!といわんばかりにお尻を意識して歩いた。男が一人こちらに寄ってくるのが見える。きた!
緊張を隠してたばこにひをつける。本当の自分、自分探しの旅、その途中なんだ自分に言い聞かせて相手をまった。その男性は斜め前で立ち止まった。
初めてなの?その男はそういった。え?2丁目。あ、初めてです。そう、どこからきたの?千葉からです。千葉にもあるんだよ。何がですか?発展場だよ。えっ何ですか?ゲイがであうところよ。
男は180センチくらいの身長でやせており、女性に持てそうな容姿をしている。なぜか女の子になった気がして目の前の人にどきどきしてしまった。
遊びに来たの?いや、ちょっと迷ってしまいまして。あ、っそう、時間あるの、遊ばない、いい体してるね、スポーツ何やってた?サッカー、うそです。野球です。男はぼくの腰に手をあてた。すみません、その気はないんです。いいじゃんちょっとだけ。すみませんまた今度。じゃあ携番交換しよっ?なんて?メールする人、しない人?あまりしないけど。じゃっめーるするね。
男はリュウタとじぶんのなまえをつげて去っていった。
緊張のあまりしばらく放心状態だったが、なんとか公園の外へ出た。
帰ろう 正直そう思った。これ以上マジな人間を茶化すと間違いなくばちがあたる、とりあえずあのリュウタという男にしてやられ、正真正銘のホモになってしまうだろう。親父も泣くし、母もなくだろう。
帰り際、公園脇にあったゲイショップで記念にパンツを買った、4800円もした。それはパンツの後ろ、ちょうどあなるのあたりに穴が開いている代物で、結構かっこいい。レジの親父にビデオを進められたがさすがに断った。
あれからリュウタ君より2度メールが来た。2通ともに内容は卑猥なものである。
リュウタ君へ元気でしょうか。もうメールはよこさないでください。