入場口の切り絵だけ撮影OK
レースのように細かくてきれい。近付いてまじまじと眺め、数歩下がって全体を愛で、再び近付いて・・・。入口からなかなか中に進まない
係の人がチラチラと様子を伺いに来ているのが目の端に写っていたけれど、切り絵をこんなふうにちゃんと見るのは初めてだから興味津々なのよ。
他の美術館でもそうなんだけど、日本の美術館で働く人々は真面目だ。でも、いつも監視されている気分になる。実際、変なことをしないように監視しているのだろうけど。外国の美術館で働く人々も少しは見倣えと、よく思う。直近ではフランス、イタリアで美術館へ行ったけれど、本当にいるだけの係員達。あれでお給料をもらえるなら私も学芸員になりたい。みんなスマホをいじっているか、おしゃべりしているか。本を読んでるおばあちゃんもいた。老後はこういう仕事がいいな。うらやましい。来場者を注意深く見ている人なんていない。あんな働きぶりなのにいろいろ要求してストライキをする。
日本と外国の間くらいのゆるさと真面目さで見守ってもらえるとありがたいのだけどねぇ。
近付くと作品の細かさがよくわかる
多分、この装飾の切り絵は紙のネックレスとして売店に売っていたと思う。買わなかったけど。
今回作品を展示している7人のミューズ
蒼山日菜
切り絵の手法も個性がある。蒼山さんは小さなハサミ1本で制作を行っている。「レース切り絵」という言葉を生み出したのもこの方だ。
まさにレース!
東京オリンピック2020の時には公式アーティストにも選ばれていたらしい。オリンピック競技を切り絵にした作品も展示されていた。
他にもOMEGAとのコラボや、森永製菓とのコラボ作品などもあった。
これ全部切り絵!白い羽も!
内部は撮影禁止なので、これは売店で買ったグリーティングカード。だから印刷物ではあるけれど、細かさにびっくりよ。
ハート型の馬車のデザインは森永製菓とのコラボのところに展示されていた。森永のクッキーのパッケージに使われていたもので、期間限定だったから今は販売されていないみたい。
私は森永のクッキーを普段買わないから全然知らなかった。もしも買うことがあっても気付かなかったと思う。実際に販売されていたクッキーのパッケージも展示されていたのだけど、原画の切り絵の方が何十倍も素敵だった。
Sea Star
福井利佐
今回のミューズの中で唯一の静岡県出身者。静岡市の出身。浜松には親戚が住んでいて幼い頃は休みの時などに浜松で過ごしていたそうだ。
今回の企画のために制作してくれた新作がこちら。
浜松
松原真紀
福岡出身の松原さんは地元八女の手漉き和紙にこだわって、和紙を使って作品作りをしている。
生き物の切り絵が多い。
team BLUE
Blueなのは分かるけれど、なぜこのタイトルなのか最初は全然わからなかった。よーく見たら鯨が3頭描かれている。大きさが違うから親子だろうか。
だからteamなのかな。
和紙を使っているせいかとても日本的に見える。浴衣の柄にありそう。
和紙を生かしてやわらかい雰囲気の作品が多かった。マネキンに総レース(みたいな切り絵)の下着を着せている作品もあった。美しい
昆虫とか、一般的に嫌われるような虫も作品になっていた。これは松原さんだけでなく他の作家さんでもそうなんだけど、おそらく虫の形状と切り絵の表現がマッチしやすいからかと思うのだけどどうだろう。
蜘蛛の巣に引っかかった蝶と糸を垂らして巣から降りてくる蜘蛛なんて実際に目にしたら絶対近づきたくはないのに、あまりにも精巧に作られていてまじまじと観察してしまった。蜘蛛の脚の毛とか、切り絵作家さんなら作りたくなるかも。
メイさんの日
この羊の切り絵はディテールまでもがかわいらしかった。色を多用しすぎないバランスも素敵だ。
どアップで見てみる
SouMa
今回の展示は2階から見て1階に降りる順路になっている。ここから1階の展示となる。
ここまで想像を超える切り絵の技術を存分に見せられて、まだ半分しか見ていないのにもう美術館ひとつ見終わったくらいな気分になっていた。
そして、SouMaさんの作品を見た時、あまりにも個性的で大胆でさらにびっくりした。
立体的で、紙の端の方は火で燃やしたなとわかる焦げ目がついていたり、細かい紙の鎖を編んであったりして、とにかく独創的。ジュエリーみたい。これが1枚の紙からできているなんて信じられない。
独学で切り絵の制作を行っているそうだ。
天才でしょうか。
現在は佐賀県立美術館で個展をやっているようだ。
柳沢京子
7人のミューズの中で一番ベテランの柳沢さんが切り絵を表現方法に選んだ理由は、駆け出しの頃、短い時間で作品を仕上げていかなくてはいけなくて、早く描くには切り絵がちょうどよかったからだそうだ。
当時の印刷機は印刷をするごとに黒い紙が出てきていてたくさんあった(私もその時代は知らない)。たくさんある黒い紙を切って絵を描いたのが評判を呼んだらしい。
柳沢さんの作品を見た瞬間、「これっ!これが私が知ってる切り絵だ!」と、ホッとするような気持ちになった。
ここまで私の想像を超えた超絶技巧が畳み掛けるように出てきていたから、原点に戻る感じで安心感を覚えた。
満月だよ
切り絵ってこういうイメージ。馴染み深いからといって真似できるものではないけど。
1つ1つ作品を見ていくと、柳沢さんが長期に渡って活躍されている理由がわかる気がした。
「上をむいて歩こう」と「見上げてごらん夜の星を」のイメージで作った作品がとても良かった。
筑紫ゆうな
展示されているすべての作品が無題だった。絵本の挿絵みたいにファンタジーな世界観で、すごくかわいかった。
よく見ると細かいパーツを何層にも重ねて作品が作られていて、その細かさが見れば見るほど伝わってくる。これは絶対実物を見た方がいい作風だ。
筑紫さんが高校生の時に、カセットテープにお気に入りの曲を録音して、レーベルを自分で切り貼りして作ってみたところ初めて自分の表現したいことを出し切れたという気持ちになったのが、切り絵を始めたきっかけだそうだ。
カセットレーベル懐かしいなぁと、ほのぼの気分で昔を思い出していたら、注釈が目に入った。
CDやMDが出現する前はカセットテープに曲を録音するのが主流でした。
今ってそういう注釈が必要な時代なの!?
知識としては知ってるっていう若者も少なくなってきてるということなのか?ちょっと衝撃だった。
切り剣Masayo
7人目のミューズは切り剣Masayoさん。徹底して白い紙一枚にこだわっている。色もつけない。ひたすらに白と黒の世界だけで表現をする。
「この先も、色をつけてみたら作品の幅が広がるんじゃないか、などとアドバイスしてくださる方はいらっしゃると思いますが、私は徹底して白い紙を切ることにこだわりたい」
というような内容の切り剣さんの言葉が紹介されていて、いろいろとアドバイスしようとする人への宣戦布告みたいだなぁと思った。よほど周りの声がうるさいんだろうな。
でも切り剣さんの作品には、外野の声を黙らせるような圧倒的な迫力と説得力があった。
海蛸子
福龍
期間限定の桃のフラペチーノ
このフラペチーノの正式名称は「ラブ&ピーチ フラペチーノ」。こんな恥ずかしい名前で注文できない無理ー。
「あ、えっと〜モモの・・・」
と挙動不審に注文してしまった。
売店で買ったポストカードを眺めながらニヤニヤしつつフラペチーノを飲む。
7人のミューズ展は9月15日までやっているから期間中にもう1回くらい行きたいな。