東京滞在中にぽっかり空いた1日。
美術展にでも行こうかな、と調べてみたら国立新美術館でマティス展をやっているようだ。
昨年は上野のマティス展へ行ったし、9月にラグビーワールドカップでフランスへ行った時にはニースでマティス美術館へも行った。
だけどまた見に行ってしまった。

マティス自由なフォルム


ニースのマティス美術館の作品が来日しているみたい。

私がニースで見た作品はあるのかな。楽しみだ。

入り口でオーディオガイドも借りる。ナビゲーターは安藤サクラさん。


見たことがある作品が並んでいるような気がするけれど記憶が曖昧だ。ネットやガイドブックなどで見たことがあるのか、実際に見たものなのか、自分の記憶力があやしい。

そんな中、気になっていた作品発見!


ニースの嵐 *ニースにて撮影


ほとんどの絵が撮影禁止だったので、ニースで撮った写真には注釈つけておきます。

ニースでは写真撮影OKだった。


この絵は、晴天率の高いニースで嵐の絵なんて珍しいなと思ってよく覚えていた。

マティスがニースに滞在するために到着した時珍しく嵐の日で、印象的だったようで、その日の様子を絵にしたものだ。という解説を聞いた時、この絵を見て

「天気が悪いニースなんて珍しいな」

と思った私の感覚がマティスと一緒だったんだと嬉しくなった。


他にもニースで見た展示をたくさん発見した。


マティスお気に入りのオリエンタルな調度品 *ニースにて撮影


これらの調度品はマティスの絵の中にもたくさん登場する。特に真ん中の丸い椅子がお気に入りだったらしい。こういう細かい情報は日本の展覧会でないとなかなか分からない。美術館賞なんて分からないなら分からなくていいと思うけれど、知った瞬間は結構うれしいニヤニヤ


スペースが限られているから、たくさんの作品が所狭しと並んでいる。

ニースではどうだったかなと気になって、ニースで撮った写真と見比べながら鑑賞していたのだけど、スマホを手に持ちながら見て回っているから、係の人にすごい見られているのがわかった滝汗


ポリネシア、海 *ニースにて撮影


マティスが病に倒れて身体が不自由になってからの作品だ。
このタペストリーは、ニースでは一部屋の中にたった一作品だけで展示されていて、贅沢な展示だなぁと思ったものだ。日本では、他のたくさんの作品と並んでわちゃわちゃと展示されていた。展示方法によっても雰囲気がガラリと変わっておもしろい。マティスはどういうふうに見てもらいたかったのかな。


ブルーヌード


今回の展覧会の目玉であろう作品。
ポスターにもこの絵がプリントされていた。
ここでようやく撮影0K作品が現れ始めて人混みが激しくなる。

花と果実


あーこれはマティス美術館の一番目立つところに展示されてるやつだ。

アメリカ人コレクターに、ロサンゼルスのヴィラの中庭に飾る大型装飾の依頼を受けて製作されたものだそうだ。

ただただかわいい色合いだねーと思って見ているだけだったけれど、日本語での説明を聞いてみるとなるほどーと思う。



日本で初めてのマティス展の時の書籍など


1951年に東京国立博物館で「アンリ・マチス 礼拝堂・油絵・素描・挿絵本」展が開催されて、大阪市立美術館や大原美術館も巡回したそうだ。この展覧会がマティス存命中では日本で最初で最後の展覧会になったようだ。この時の展覧会の主催者のひとつが読売新聞社。3点の『顔』の作品を寄贈されている。

今回の展覧会の主催者も読売新聞社だから、読売新聞社所有の貴重な資料も展示されているわけだ。
1951年当時はどんな人がこの展覧会を見に行ったのだろう。やっぱり芸術に造詣の深い限られた人達かなぁ。

この他にも、昨年上野で見た「ジャズ」の作品とか、雑誌「ヴェルヴ」の作品などもあった。

ヴェルヴ *上野にて撮影


そして、私が最も楽しみにしていたヴァンスのロザリオ礼拝堂。マティス最晩年の作品であり、初めて建築デザインに挑んだ作品。

上野のマティス展で見て、是非本場で見たいと思った。

だけど、ニースに滞在している時はちょうど礼拝堂が休館日で行くことができなかった。今回は、礼拝堂内部を完全再現ということで、すごく楽しみにしていた。


告解室の扉の為の習作


まずは礼拝堂のデザインを決めるにあたってマティスが描きまくったデッサンなどの展示がたっぷり。
告解室って懺悔室のことよね?このデッサンは上野でも見た記憶。
オシャレだぁ。



星型のある背景の聖母子


かわいーデレデレ

かわいーちゅー


20分の1サイズのヴァンス礼拝堂


大病を患って、身体が思うように動かず、多分あちこち不具合もあって痛みもあっただろうに、この創作意欲には感嘆する。


上祭服いろいろ


上祭服とは、ミサの時に司祭が羽織る服のこと。よく教会の宝物室などに展示されているのを見る。金糸の刺繍がゴージャスに施されていたりして、その教会の権威を知らしめるような煌びやかさなのだけど、正直なところ、そういう宝物を見ても私の興味はちっともそそられない。

だけど、マティスデザインの上祭服のかわいらしさには目が釘付けになった。

どのデザインもかわいすぎるラブラブ


展示の仕方もとってもいいね。


そして、いよいよ礼拝堂へ。


入口の壁に描かれていた絵


多分、というか絶対「キリストの受難」が描かれている。イエスキリストが捉えられて、ゴルゴダの丘を登って十字架に架けられて亡くなるというストーリー。
マティスの手にかかると子供のお絵かきみたいに微笑ましい感じになっちゃう。
実際には計算され尽くして描かれているのだろうけど。
マティスは立ち上がることも難しかったから、長い棒の先に筆を取り付けてこの絵を描いた。

今回の展示では、日が昇ってから沈み夜になるまでの光を再現してくれている。


朝の光が差し込んで


だんだん日が高くなっていって


やがて太陽が傾き始め


影がどんどん伸びていく時間


そして夜になる。


マティスは光の動きを考えてこの礼拝堂をデザインしたから、ステンドグラスの色が映えるように壁は白く、絵は黒い線で描いたそうだ。

徹底的に光を主役にしたかったのだろう。


光の変化が美しすぎて、4日分も礼拝堂に滞在してしまったニヤニヤ



カフェで休憩


コーフンして見てたから喉がカラッカラだ。グレープフルーツジュースを一気飲みしつつ余韻に浸る。
やっぱりいつか本物を見たいなぁ。
その日を夢見て頑張って働こう。

上野のマティス展のはなし