宿泊していたペルピニャンからの電車がまさかの運休!代わりにバスで移動することにした。


前回のおはなし


29番乗り場からバスに乗る


出発時間よりも少し早かったのでバスを待っている人はいなかった。

バスを待つ間に他の方面行きのバスが次々と入ってきては去って行った。地元の通学バスもあった。パリ行きのような長距離バスもあったので、安く旅をするのには活用できそうだ。

時間になると私達が乗る予定のバスがやってきた。ドライバーさんに1ユーロを払って乗り込む。

タダ乗りレベルの安さだ。


このバスはLa tour de carol enveitig (ラトゥールドカロル) 行き。今日私達が行きたい場所だ。だけどそれより手前のVillefranche-Vernet-les-Bains (ヴィルフランシュ)で降りる。

なぜならヴィルフランシュからラトゥールドカロルまでは黄色い電車に乗る予定だから!


ペルピニャンからヴィルフランシュまでバスに乗り


ヴィルフランシュからラトゥールドカロルまで黄色い電車Le Train Jauneに乗る



ピレネーの山麓を走っていくレトロな電車らしい。リカさんが今回の旅で一番乗りたいと言っていたのがこれだ。
フランス語レッスンで、どこへ行くのか聞かれて説明した時にポール先生も知らなかった。私も知らなかった。

リカさんが言うには、この電車に乗ったことがある同業者がいたそうだ。
「今度トランジョーヌに乗るんだぁキラキラ
とウキウキしながら言ったら
「ああ…」
と微妙な返事が返ってきたそうだ。
「え?良くないの?」
と聞いたら
「うーん、良くないわけじゃないけどぉ」
とやっぱりハッキリしない返事で、ちょっと心配していた。

「仕事で乗るのとプライベート旅行で乗るのは全然違うから大丈夫ですよ!
自分の旅行なら列車にトイレがなくたって、座席が回転しなくたって、エアコンがなくたって楽しいじゃないですか!」
と言ってみたけど、事前調査を何もしていない私はどんな電車なのかよくわかっていなかった。

ペルピニャンから乗り込んだバスはガラガラに空いていた。地元のお年寄りなんかも利用していて、バス停に止まるたびに乗り降りする人がいたけれど、ずーっと空いていた。

いい感じの町を通り過ぎていく


バスに揺られること1時間半ほどでヴィルフランシュに到着。


かわいらしいヴィルフランシュ駅


バスが到着したのは9:30くらい。トランジョーヌ出発時間は10:02。もしもこのバスに乗れていなかったら、私達はトランジョーヌにも乗れなかった。ホテルのフロントのおねえさんには本当に感謝だ。

ペルピニャンからの列車が予定通りに動いていたら、ヴィルフランシュには8:00頃に到着していたはずで、本当はトランジョーヌの時間までヴィルフランシュ散策を楽しむ予定でいた。

だけど時間がなくなってしまったのですぐに駅へ向かった。

いつかまた訪れることができるかなぁ。できればいいなぁデレデレ


「私が乗車手続きしてくるからスナコは先にホームへ行ってて!入線まであまり時間ないから」

とリカさんが言う。

「了解!」

と言ってホームへ出たら、すごい人!!


どこから湧いてきた?


個人旅行客だけでなく、団体旅行ぽい人達もたくさんホームにあふれていた。

日本のように列車がどこに止まるのかもわからないし、列になっているわけでもないからどこに並んだらいいのかわからない。そもそも並んでもないが。

分からないから、たくさんいる人達の中で真ん中辺に入って待ってみた。

アジア系の人は全然いない。

話している言葉はフランス語、スペイン語が多い。カルカッソンヌくらいまではラグビーワールドカップの為に来てるのかな、と見た目でわかる人がたくさんいたけれど、ここまで来るとそういう感じの人は見当たらなかった。いたかもしれないけど、見た目ではわからなかった。

リカさんが乗車手続きを終えてホームに来てすぐに改札が始まった。


黄色い電車(トランジョーヌ)も入線


たくさんの人がいても、焦って前へ行こうとする人もなく平和に改札が終わる。


落書きガッツリの車両がフランスらしさを感じさせる


↑この写真の奥の方に、電車にしがみついているような人が小さく写っているのがお分かりだろうか?

この人は、列車に乗り込もうとしている人である。ハシゴみたいな階段を昇らないと乗り込めない。乗客にはお年寄りもたくさんいるのに大丈夫だろうかと心配になる。

私とリカさんも人の心配よりも自分が落ちないように気をつけて乗り込んだ。


レトロな列車内


少しだけ大井川鐵道の列車に似ている雰囲気。

足元は結構狭くてこのシートに4人が座るのはかなりきつそう。

私達が座ったボックスシートには他の人は来なかったので2人で1ボックス使えて良かったけれど、後から来たフランス人の団体さんはギュウギュウに座っていて狭そうだった。


10:02 ヴィルフランシュ出発


ちょっと失礼〜とフランス人をかき分けて停車駅が書いてある路線図を写真に撮らせてもらった


ヴィルフランシュからラトゥールドカロルまで約3時間の旅だ。

この図の上の方には見所らしきものが描かれているのでわかりやすい。


見所っぽい橋が見えてきた


お天気も良く、きれいな景色が延々と続く。

エアコンはなくて暑いので窓は全開だ。


山の向こうはスペイン?


1時間ちょっと走ったくらいでMont louis la cabanasse という駅に到着。

狭い客車内で仲良く同乗していた人達がみんな降りて行った。


たくさんの人が降りていく


「トランジョーヌの乗車体験をしたい人達にはちょうどいい距離感なのかもね。氷河特急みたいにさ」

とリカさんが言った。

確かに、スイスの氷河特急はサンモリッツからツェルマットまで全区間をツアーで乗ることはあまりなく(乗ったことはあるが)、だいたい真ん中のアンデルマットで下車をして観光バスに乗り換える。

トランジョーヌ利用も同じ感じなのかもしれない。

この駅では長めに停車するみたいなのでホームに降りてみた。


列車のすれ違い駅のようだ


何分停車なのか案内はないので、車掌さんの動きをチラチラ見ながらホームで手足を伸ばしたり、写真を撮ったりした。

近くにいたフランス人の写真も撮ってあげた。かなりご年配で電車の乗り降りが大変そうだったから。


車掌さんの笛の合図と共に再び列車に乗り込んで出発!

私達がいた車両は、他の人がみんな降りてしまって貸切状態になった。


世界の車窓から


この頃には私の空腹度合いはMAXで、昨晩の残りのポテチをバリボリ食べながら外の景色を眺めていた。

あいかわらずリカさんは食べないので、ポテチ一人占めニヤニヤ


駅の時計がおかしい…


9:38頃を指しているけれど、現在12:00を回ったところだ。

私は、フランスに限らず海外ではホテル、駅、空港の時計を信じない。

仕事と旅行の時だけ腕時計をする。


昔流行ったダブルフェイス時計


上がフランス時間、下が日本時間。この時計は電池が2つ入っているので、片方が止まってももう片方が動いている。だから、電池切れがあっても気付きやすいし、どちらか一方が止まっても動いている方を使える。

あと、盗難があってクレジットカードを止める時や保険会社に事故連絡をする時に必ず「日本時間で何時頃のことですか?」と聞かれるので、即座に日本時間がわかって便利。


一昔前は各航空会社の機内販売でも売っているくらい流行っていたけれど最近はあまり見ない。私の一代目ダブルフェイスウォッチはANAで買ったのだけど、ある時紛失して、新しいのを探しまくって結局羽田空港で買った。今はその時計屋さんもなくなってしまったけど。


スペインらしい緑少なめの山並みを眺めながら列車は走り続けて、


放牧牛を愛でたり


どこかの家の飼い犬に吠えられたりしながら


ラトゥールドカロルに到着!


13:11 ラトゥールドカロル


約3時間の列車の旅、楽しかった。

トランジョーヌに乗ったことがある同業者が微妙な返事をした理由もわかった気がする。

仕事で乗るのは確かにキツイ。私も仕事では嫌だ。理由はたくさんあるけれど、ここでは割愛。

だけどすっごく楽しかった!


乗れて良かった!!


仕事でなければまた乗りたい。お天気に恵まれたのも良かったと思う。


一番人気だった車両はこちら


3時間風に吹かれて楽しそうに乗り続ける欧米人はすごい!しかも満席でギュウギュウに座ってた!


トランジョーヌが走る様子を少しだけ



つづく