パチンコ業界の脱税について | 数字で考えるパチスロ理論

数字で考えるパチスロ理論

パチスロを可能な限り理論的に分解して考えていきます。よくある勝てる立ち回りではなく、確率や噂などを理論的に検証していきます。打ち手の希望的推測ではなく店側の立場から逆算して考えていきます。

ヤフー知恵袋に寄せられた質問です。パチンコ関係で検索するとこれに類する質問が多数あります。規約を見ると引用は問題ないようですので、引用させてもらいます。質問者、回答者の名前は消去しています。

パチンコ産業は30兆円産業といわれていますが、どれ位の金額を脱税しているの?ま...


パチンコ産業は30兆円産業といわれていますが、どれ位の金額を脱税しているの?またその内でどの位の金額が朝鮮や暴力団に流れているんでしょうか?そして国はこんなおいしい事をなぜ国営化しようとしないんでしょう



ベストアンサーに選ばれた回答


脱税額は事件として当局の発表が得られない限り明確ではありませんが、関係者に北が多いことから、ほぼ常習と思われます。
パチンコの客側の勝ち確率は約30%といわれ、人経費や投資経費を差し引いても30%以上が経営者の荒利益と見られます。
30兆円業界とすれば、内訳はゲーム機器メーカーと業者からなり、その売り上げの70%は業者分と思われ、推定7兆円以上が経営者の懐と思われます。
その内から正規なら法人税と地方税で荒利の45%が納税対象となる筈ですが
今まで、メーカー以外のパチンコ業者が高額納税者となった事を知りませんから、闇雲の世界と見て大差ないでしょう。

尚、パチンコはWHO(世界保健機構)が1977年に莫大な借金地獄から家族崩壊に繋がるギャンブル依存症の一つと認定しましたから、
東京都がお台場にカジノの構想を立て国の認可が降りなかったと同様、パチンコに監督当事者の国が手を出すことは無いでしょう。



こういった中途半端な回答で、よく判らない人がパチの印象をさらに悪くします。
まず関係者に北が多い事は事実です。ですが、だから脱税ってのは話が飛躍していますね。中華料理屋にいけば中国系のオーナーが、インド人がやっているカレー屋にいけばインド人オーナー多数でしょうが。これも脱税でしょうか?
在日の北朝鮮人だけが税務署を出し抜いて本国に送金しているなんていうソースがどこにあるのでしょうか?

次に勝率30%の話ですが、客の勝率と粗利はまったく関係がない話ですね。
人件費や設備投資を差し引いても30%以上が粗利益となります。については根拠がないですね。
まぁもっとも私もここは答えを出せていませんのでひとまず保留。

30兆業界の話ですが、この質問が2007年のものですが、2006年時点の市場規模は27兆あるので、厳密には30兆ではないですが、まぁ誤差としましょう。

内訳はゲーム機器メーカーと業者からなり、その売り上げの70%は業者分と思われ、推定7兆円以上が経営者の懐と思われます。

ゲーム機器メーカーとは台の製造メーカーの事でしょうが、
http://gyokai-search.com/3-pachinko.html
によるとパチンコ関連のメーカーの市場規模は当時で8000億規模、どうやら過去に1兆に達した事はないようです。シェア1位のサンキョーがシェア30%弱で売上2200億とありますから、ここから見てもまぁ1兆に満たないと証明になるかと思います。

記事に戻ると「業者」というのは定義が広域すぎますが、ホールを指している物と勝手に解釈すると売上比率でみると0.8兆:26兆ですから、4%:96%という比率になりますので30%:70%と主張する回答者とは大きく違うと考えられます。


その売り上げの70%は業者分と思われ、推定7兆円以上が経営者の懐と思われます。

30兆の70%である21兆がホールの取り分であり、その21兆の30%以上を粗利とこの回答者は定義していますから7兆を超える儲けがあるということですね。

ここは完全に破綻しています。
まず粗利というのは利益の元となる部分で、(人件費等を原価に組み込んだとしても)ここから経費等を支払うのです。
粗利がそのまま経営者のポケットマネーになるようなことは絶対にありません。

例として、パナソニックの決算を見てみましょう。

数字で考えるパチスロ理論-パナソニック


売上高5.4兆、粗利1.4兆。
パナソニックの社長は1.4兆がポケットマネーで入っているんでしょうか?

とんでもない。

そこから経費を払って、まぁパナソニックの場合はのれん代という、ややこしいものが関わっているのですが・・・。それにしても最終利益は-6300億の大赤字です。

無論これは極端な例なんですが、「売上や粗利だけでその企業や業界を見る」なんてことは愚か者です。この回答者の例に倣うと家電の一般的な原価が60%ですから、5.4兆の粗利40%の2.1兆儲かってる。これに法人税が45%だから1兆の税金をパナソニックは払ってないとおかしい!

という事になります。


パナソニックの決算を売上と原価、粗利だけで見てみましょう。

数字で考えるパチスロ理論-パナソニック2


当たり前ですが、こんな情報だけでこの企業は儲かっていますか?税金はいくらですか?
なんてて言ってもどんなに偉い経済学者でも判らないのです。

一般的には原価が60%だから・・・など言い出すと上で書いたように

この会社は1兆の税金を払っている!!!

なんていう的外れな事になるんです。

今回の回答を要約すると
パチンコには30兆の売上がある、内70%の21兆がホールの取り分で、その3割強の7兆が経営者の懐にはいっている。税金が45%なので3兆くらい納税してないとおかしい。でも高額納税者にはパチは乗ってないから脱税やってる!

です。はっきりいってこの回答には何一つ正しい情報などないでしょう。

この回答者は下の図よりも、もっと少ない売上30兆という情報のみから、利益7兆という答えを導いているわけです。仮説を飛び越えて占いレベルですね。

アンチの方が言っている理屈はこのように都合の良い情報を、都合の良いように解釈している場合が非常に多いのです。

WHO以下の依存症の問題に関しては、無論由々しき問題ではありますが、市場規模や納税とはまったく関係ない話。

今回ヤフー知恵袋さんの内容を引用してきましたが、問題があるようでしたら削除します。
パナソニックに関しては決算公開しているので問題ないでしょう。
この回答者さんは、「思われる」とは書いてますので、少し酷な評価をしてしまっていますが、こういった大きく勘違いした人が多いというのを判って貰いたいですね。