私は、医師になってから、北海道以外で働いたことがないのですが、本州や沖縄だと、皮膚病の様相も少し違ってくるのではないかと思っています。

何でこんなことを書くかというと、私の後輩が、昨年、本州で開業し、そのことが同僚と話題に上ったからです。

まあ、道外に限らず、北海道は広いので、道内でも地域により多少違うと感じることがあります。

1,最近、格闘家(高校の柔道部など)で流行っている、トリコフィトン・トンズランスという白癬菌で生ずる体部白癬(たむし=体の水虫)ですが、旭川の先生に聞くと、けっこう症例があるそうですが、私は1度もお目にかかっていません。
と思っていたら、先日一人の患者さんが来ましたが、その患者さんは、本州から合宿か何かでたまたま当地に来ていた道外の方でした。
当地で多いのは、牛からうつる水虫で。これは、トリコフィトン・ヴェルッコーズムと言う白癬菌です。
ちなみに、普通の足の水虫は、トリコフィトン・ルブルムという白癬菌が多いです。

2,疥癬という虫がいますが、やはり、札幌や旭川では、たまに集団発生など見ましたが、当地での集団発生は、1回もありません。

両者ともここが乾燥しているからでしょうか?確かに当地では、乾燥性の湿疹が多く、アトピーの人も、東京や札幌から引っ越してくるとてきめんに悪化します。

3,北海道ではまだ、報告されていない病気に「ツツガムシ病」というのがあります。ツツガムシ(恙虫)というダニからうつる病気で、まあ皮膚科に初診で来ることはないと思いますが、診断がつかないで困っているところに、皮膚科医がダニの刺し口を見つけて診断に至る事もあるようなので、北海道第1例を私が診断する可能性もゼロではないと思っています。
このツツガムシのツツガ(恙)ですが、「今年も1年つつがなく過ごせました」などと使う時の「つつが」で、私は最近まで恙虫がいない=ツツガムシ病にならないで過ごせました、ということだと思っていたのですが、調べてみると違いました。恙というのはもともと病や災難の事で、古典的なツツガムシ病は日本の風土病のようなもので、原因がわからないこわい病気だったそうです。それが、このダニからうつる事がわかったので、このダニを病気の原因のダニということで、ツツガムシと名付けたということで、まったくの逆でした。

4、逆に北海道(特に道北、道東)ではシュルツェマダニからうつる「ライム病」という病気は一般的ですが。本州では、長野の高地など一部の地域でしか見られない比較的珍しい病気なので、見たことのない皮膚科医はいっぱいいると思います。