ダニー殿下は、農場のお仕事をすっごく頑張っててたんだけど、フルール陛下を見送りながら、この国の未来を心配したみたいだった。
「ダニーちゃん、あ、いや、様?お引越し手伝おうか?」
ダニー様は、子供の頃に慣れ親しんだベッドに深く沈んだみたいだった。
ぼくも、つい、家に帰る足が重くなって…




かちゃかちゃ…
「ねぇパパー?ほらー、ご飯こんなに美味しいよー?(辛くてもう食べれないけど)」
「…んー。」
「んー…」
「お父さん、大好きなガゾだよ?」
「あ、うん…」
「ラゴ、美味しいなぁ。ほら、父さんも食べる?」
「ううん。食欲。ない…」
「もう、ウィラン。もうすぐダニー様の戴冠式だよ。ほら、歯磨いて、髪整えて、あっ、制服の鎧はどこにしまったのっ?」
ぼくはまだちょっと、自分自身が遠くにいるみたい。
「パパ、ボクの分までダニー様のカッコいい姿見てきてね!」




ダニー様の戴冠式は、フルール様からの贈り物で、大切なバトンだ。
神妙な雰囲気の中、朝、フルール様を見送ったフランツ君の声が、ここでも響く。
でもそれ以上に、ダニー様の声が、
「私が、この国を見護ります。これから…ずっと!」
ぼくもやっと、ダニー様にお悔やみを言えました。
「き…緊張しかありません!!」
「ははっ。頑張ってねー。」
「あー!他人事みたいに!」




そうだった。ぼくが落ち込んでたら、ダニー様を元気付けられないよね。
ぼくも龍騎士として陛下を支えるって決めたんだから、シャンとしなきゃ!