記憶の断片小説のような
先日、我が魂の欠片とも言うべきハムスター(ミル)に、プチトマトを奉納したのですが、プチトマトは、つるつるのすべすべなので、ハムスター(ミル)はプチトマトを食べる事ができず、死ぬまでずう~っとプチトマトの表面を舐め続ける、という凄惨な事件に発展してしまいました。
死ぬまでずっと、と言うのは少し誇張しすぎましたが、かなり長い時間(約3分間)プチトマトを舐めていました。
しかたがないので俺の鉄腕の鉄指のパワーで、プチトマトをプチっと……プチトマトをプチっと、潰しました。
プチっと。
潰れゆくプチトマトからは、脳髄がたっぷり詰まった頭をデザートイーグルで吹き飛ばした時のような薄紅色のそれはそれは美しい脳漿に似た汁が噴き出ました。
俺は、その潰れたプチトマトをミルに与えました。
ミルは、ジュルジュルと音を立てながら潰れたプチトマトから滴る汁をすすり、貪り、弄び、そして欲望のおもむくままに喰い散らかしました。
かすかに原形を留めている潰れたプチトマト。
この潰れたプチトマトは、つい先程までたしかに生命を宿していた。
そして、その生命を俺が奪った、愛するミルに喰わせる為に生命を奪った……ただ、それだけの事だ。
などと考えながら、虚ろな瞳で、虚ろな気持ちで、ミルが喰っている潰れたプチトマトと、自分のこの汚れた手とを交互に見た。
生命をいとも簡単に奪ってしまう恐ろしい力を、その力を持つ者の苦悩を、俺はこの時知ったんだ。
「ククッ、おまえはその苦悩を一生背負ってゆくんだよ、一生ね……ゲップ!」とミルは言った。
俺は……ミルを……。
おわり