心変わりは、人の世の常 | 『泣きながら歯磨き』

心変わりは、人の世の常

『未成熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある。これに反して成熟した人間の特徴は、理想のために矮小な生を選ぼうとする点にある。』

ウィルヘルム・シュテーケルという精神分析の学者が書いたものだそうです。
昨日の俺に教えてやりたい、とてもすばらしい詩です。


すばらしいといえば『ライ麦畑でつかまえて』に出てくるアントリーニ先生は、とてもすばらしいことを言っていました。

「君がいま、堕落の淵に向かって進んでると思うと僕は言ったが、この堕落は特殊な堕落、恐ろしい堕落だと思うんだ。堕ちて行く人間には、さわってわかるような、あるいはぶつかって音が聞こえるような、底というものがない。その人間は、ただ、どこまでも堕ちて行くだけだ。世の中には、人生のある時期に、自分の置かれている環境がとうてい与えることのできないものを、捜しもとめようとした人々がいるが、今の君もそれなんだな。いやむしろ、自分の置かれている環境では、捜しているものはとうてい手に入らないと思った人々と言うべきかもしれない。そこで彼らは捜し求めることをあきらめちゃった。実際に捜しにかかりもしないであきらめちまったんだ。わかるかい、僕の言うこと?」

(こんなすばらしい人が身近にいたら、俺はきっと……)

そして、このアントリーニ先生は、さらにすばらしい話を続けます。
俺は、それを読みながら「ええ、わかります」と本当にそう思いました。
本当にすばらしいと思いました。
嘘じゃないです。
本当です。

ただ、何かにつけて「すばらしい」という言葉を連呼する自分は、なんだかインチキな人間みたいで、ちょっと気が滅入ってしまいました。