「うわぁあああああああああああああああんんん」
俺は…赤坂の交差点で泣いていた…
渚つん太郎さんの…
「ありがとう。君に会えて、うれしかったよ。」
という言葉が…嬉しかった…渚つん太郎さん…また、いつか…会えますよね…
…
…
…
トントン…トントン…
誰かに肩を叩かれて目を覚ました…
泣き疲れてしまったのか…俺は赤坂の交差点で蹲りながら寝てしまっていたようだった…
視界がぼやけている…
「ゴンザレス!!おいっ!!!しっかりしろ!!どうしたっていうんだニキ…?」
ニキ?…この独特な語尾…まさか…ゴシゴシ…ゴシゴシ…
「もしかして…“ふるぼっき”さんですか…!!?」
「そうニキ!!久しぶりだな…ゴンザレス!!」
“ふるぼっき”さんは、つん太郎界隈の幹部クラスの方だ…つん太郎界隈の中でも、断トツの精力を持ち、過去に、一夜で30軒の風俗をハシゴしたことがあるという伝説を残している…
俺は、驚いていた…ふるぼっきさんは、昨年の9月末に起きた…とある事件に巻き込まれ…その後、音信不通になってしまっていたからだ…
まさか、こんな形で再会するなんて、思ってもいなかった…
「それにしても…何でこんなところで倒れていたニキ?」
「すみません…ふるぼっきさん…渚…渚つん太郎さんという方をご存知ですか?」
「渚つん太郎…いや…聞いたことないニキ…その渚つん太郎が…どうしたニキ?」
「信じられないかもしれませんが…俺は…渚つん太郎さんという方の魔法のような力で…赤坂ブリッツで行われている…PASSPO☆のフライティングで、中央3列目まで連れて行って貰ったんです…」
「!!?」
「俺も最初は、信じられませんでした…フライティングが始まると…突然目の前が真っ暗になって…気がついたら…“すみれ”の花が一面に咲いた空間にいて…そこで、渚つん太郎さんに会ったんです…」
「渚つん太郎のことは分からないニキが…ニキも…昔聞いたことがあるニキ…道を踏み外しそうになったヲタクを救済してくれる… “ヲタ神の化身”がいると…救済されたヲタクは…皆…“SUMIRE”のことを好きになるニキ…」
「!!?…本当ですか…!!もしかして…ヲタ神の化身は…渚つん太郎さんのことなんでしょうか…?」
「分からないニキ…でも…ニキも“SUMIRE”とは何なのか…分からなかったニキ…何かの暗号なのかと思っていたニキ…でも、ゴンザレスが見た…“すみれ”の花…が本当だとすれば…“SUMIRE”は花のことのようだニキ…渚つん太郎は…何か関係があるとしか思えないニキ…」
「………ヲタ神の化身…渚つん太郎さん…俺は、あのヲ方にどうしてもお礼が言いたかったんです…でも、気がついた時には、渚つん太郎さんはどこかに消えてしまっていたんです…」
「そうだったのかニキ…それで…こんな所で…」
「はい…そういえば…ふるぼっきさんは何故ここに…?」
「ゴンザレス…ニキが誰だか忘れたのか…………ニキィ!!?」
「うわぁあああああああああああああ」
二キィ!!?と、ふるぼっきさんが言った…刹那…俺の身体は、地上10メートルの所に跳ね上がった…宙吊りになっている…
ヲーラだ…ひまわりの様な発色の良い黄色のヲーラだ…輝いている…
「うっ…まさか…」
「やっと思い出したようだな…ニキィ!?」
ゆっくりと俺の身体は、地上へと下降していく…
「はぁはぁ…ふるぼっきさん…はぁはぁ…森詩織さんに…会うために…!!?」
「そうだニキ…ニキが…森詩織のTWニキ…」
ゴクリ…唾を飲み込むのも…やっとになるほど…圧倒的なヲーラ…
凄い…やっぱり…つん太郎界隈の幹部クラスは…格(ヲーラ)が違う…
「今まで…何をしていたんですか!!?」
「あぁ…ニキが…事件にまき込まれたのは知っているニキね!?」
「はい…」
「あれからニキは…O・I・C(オタク・インナーサークル)という…オタク崇拝集団に追われていたニキ…O・I・Cは“誰が一番オタクか”を競い合う集団ニキ…」
「!!!…O・I・C…聞いたことがあります…オタ活やオタ芸には、それぞれ得点が割り振られており…よりオタクな行為をするほど…得点が高くなる…その為…厄介な輩が後を断たないという…」
「そうニキ…回転サイや…リフト…手に精液をつけてアイドルと握手…」
「!!!…でも、何故O・I・Cに追われているんですか…?」
「たぶん…つん太郎界隈に脅威を感じたのだと思うニキ…」
「なるほど…でも…ご無事で…本当に…良かったです…」
俺の頬に一粒の涙が流れた…
「ゴンザレス…泣くなニキ!!?ニキに涙は似合わないニキ!!ニコッ」
そう言って、ふるぼっきさんは、ひまわりの様な笑顔で微笑みかけてくれた…
俺は、その笑顔を見てまた涙が溢れ出てきそうになったが…必死に堪え…涙を拭った…
「すみません…ニコッ」
「そうニキィ!!さぁ、行こうじゃないか…ヲタクの向こう側の景色を見る為に…始めようぜ…Dance(握手)を…ニキィ!!?」
「はい!!行きましょう!!」
そう言って、俺とふるぼっきさんは…クルーが待つ…赤坂ブリッツに向かって、颯爽と駆け出した…
つづく…