2/24 第22章〜星に願いを〜中編 | 何が善で何が悪か

「うわぁあああああああああああああああんんん」

俺は…赤坂の交差点で泣いていた…


渚つん太郎さんの…

「ありがとう。君に会えて、うれしかったよ。」

という言葉が…嬉しかった…渚つん太郎さん…また、いつか…会えますよね…








トントン…トントン…

誰かに肩を叩かれて目を覚ました…


泣き疲れてしまったのか…俺は赤坂の交差点で蹲りながら寝てしまっていたようだった…


視界がぼやけている…


「ゴンザレス!!おいっ!!!しっかりしろ!!どうしたっていうんだニキ…?」

ニキ?…この独特な語尾…まさか…ゴシゴシ…ゴシゴシ…

「もしかして…“ふるぼっき”さんですか…!!?」

「そうニキ!!久しぶりだな…ゴンザレス!!」


“ふるぼっき”さんは、つん太郎界隈の幹部クラスの方だ…つん太郎界隈の中でも、断トツの精力を持ち、過去に、一夜で30軒の風俗をハシゴしたことがあるという伝説を残している…

俺は、驚いていた…ふるぼっきさんは、昨年の9月末に起きた…とある事件に巻き込まれ…その後、音信不通になってしまっていたからだ…

まさか、こんな形で再会するなんて、思ってもいなかった…



「それにしても…何でこんなところで倒れていたニキ?」

「すみません…ふるぼっきさん…渚…渚つん太郎さんという方をご存知ですか?」

「渚つん太郎…いや…聞いたことないニキ…その渚つん太郎が…どうしたニキ?」

「信じられないかもしれませんが…俺は…渚つん太郎さんという方の魔法のような力で…赤坂ブリッツで行われている…PASSPO☆のフライティングで、中央3列目まで連れて行って貰ったんです…」


「!!?」

「俺も最初は、信じられませんでした…フライティングが始まると…突然目の前が真っ暗になって…気がついたら…“すみれ”の花が一面に咲いた空間にいて…そこで、渚つん太郎さんに会ったんです…」


「渚つん太郎のことは分からないニキが…ニキも…昔聞いたことがあるニキ…道を踏み外しそうになったヲタクを救済してくれる… “ヲタ神の化身”がいると…救済されたヲタクは…皆…“SUMIRE”のことを好きになるニキ…」


「!!?…本当ですか…!!もしかして…ヲタ神の化身は…渚つん太郎さんのことなんでしょうか…?」


「分からないニキ…でも…ニキも“SUMIRE”とは何なのか…分からなかったニキ…何かの暗号なのかと思っていたニキ…でも、ゴンザレスが見た…“すみれ”の花…が本当だとすれば…“SUMIRE”は花のことのようだニキ…渚つん太郎は…何か関係があるとしか思えないニキ…」

「………ヲタ神の化身…渚つん太郎さん…俺は、あのヲ方にどうしてもお礼が言いたかったんです…でも、気がついた時には、渚つん太郎さんはどこかに消えてしまっていたんです…」



「そうだったのかニキ…それで…こんな所で…」

「はい…そういえば…ふるぼっきさんは何故ここに…?」


「ゴンザレス…ニキが誰だか忘れたのか…………ニキィ!!?」

「うわぁあああああああああああああ」

二キィ!!?と、ふるぼっきさんが言った…刹那…俺の身体は、地上10メートルの所に跳ね上がった…宙吊りになっている…

ヲーラだ…ひまわりの様な発色の良い黄色のヲーラだ…輝いている…


「うっ…まさか…」


「やっと思い出したようだな…ニキィ!?」

ゆっくりと俺の身体は、地上へと下降していく…

「はぁはぁ…ふるぼっきさん…はぁはぁ…森詩織さんに…会うために…!!?」


「そうだニキ…ニキが…森詩織のTWニキ…」


ゴクリ…唾を飲み込むのも…やっとになるほど…圧倒的なヲーラ…
凄い…やっぱり…つん太郎界隈の幹部クラスは…格(ヲーラ)が違う…


「今まで…何をしていたんですか!!?」

「あぁ…ニキが…事件にまき込まれたのは知っているニキね!?」

「はい…」

「あれからニキは…O・I・C(オタク・インナーサークル)という…オタク崇拝集団に追われていたニキ…O・I・Cは“誰が一番オタクか”を競い合う集団ニキ…」

「!!!…O・I・C…聞いたことがあります…オタ活やオタ芸には、それぞれ得点が割り振られており…よりオタクな行為をするほど…得点が高くなる…その為…厄介な輩が後を断たないという…」


「そうニキ…回転サイや…リフト…手に精液をつけてアイドルと握手…」

「!!!…でも、何故O・I・Cに追われているんですか…?」

「たぶん…つん太郎界隈に脅威を感じたのだと思うニキ…」


「なるほど…でも…ご無事で…本当に…良かったです…」

俺の頬に一粒の涙が流れた…

「ゴンザレス…泣くなニキ!!?ニキに涙は似合わないニキ!!ニコッ」

そう言って、ふるぼっきさんは、ひまわりの様な笑顔で微笑みかけてくれた…

俺は、その笑顔を見てまた涙が溢れ出てきそうになったが…必死に堪え…涙を拭った…


「すみません…ニコッ」

「そうニキィ!!さぁ、行こうじゃないか…ヲタクの向こう側の景色を見る為に…始めようぜ…Dance(握手)を…ニキィ!!?」


「はい!!行きましょう!!」


そう言って、俺とふるぼっきさんは…クルーが待つ…赤坂ブリッツに向かって、颯爽と駆け出した…



つづく…