そこでたまに遭遇するおばあさんがいる。
それが、ちょっと普通じゃない。
遭遇するのは決まって夜。街灯があって明るいとはいえ、良く知っている人でさえ近くに来るまで顔は判別不能なくらい薄暗い。
その6差路は歩行者は歩道橋を利用して渡らなければならない。
その歩道橋は乗降階段がそれぞれ4箇所あり、上でひとつにつながって、またそれぞれの降りる階段につながっている。
私もその夜、歩道橋を登っていた。
上まで登ると前方におばあさんのような背格好の人影が階段を下りようとしている。
私が降りる方向と同じだった。
(近所のおばあさんだろうな)
この歩道橋の階段は4箇所全て、途中で踊り場のような場所を折り返して上り下りをする構造になっている。
つまり、踊り場に向かう側から、踊り場以降の向こう側はお互い全く見えない構造となっている。
私がその踊り場を折り返したとき、ちょうどおばあさんがあと少しで階段を下りきるころだった。そして折りきった瞬間

すっ、
と私の方向を振り返って、まさに私に向かってものすごい勢いで再び上ってくる。
(え、なんで

とそのときはそれほど気にせず、すれ違った。
私が階段を下りたとき、不思議な感覚を覚えたので、何とはなしに、おばあさんがいるであろう方を見た。
その時、おばあさんはちょうど階段を登りきったところだった。

おばあさんはまた私のほうを振り返りこちらを見ている

そして、また階段を下りてくる

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

どうやら
おばあさんは歩道橋の階段で運動をしているようだ。
怪談風、階段のお話
おわり