【創作】夏祭り(3/4)
2部:思い出が還るこの場所で
階段の道。それは僕にとっては苦もないものだが、父にとってはかなり厳しいものであろう。何度もよろけ、倒れそうになる父を支えて。やっと、目的の場所についた。
息が切れそうになりそうなくらい激しく、何度も呼吸して、辛そうな顔を見せずに笑顔を向ける父。
その顔は、明らかに蒼白色にかわっていても、その瞳はたった一つの願いに向けて、ずっと前を見ていた。
人はどんな過酷な条件でも、思いがあれば、力に変えられるのかもしれない。
僕は気になって、例の夢でみたメッセージを探してみる。
...たしかこのへんに...?? あったあった!!
長い月日でかすれてはいたが、たしかに同じメッセージが記されていた。
- 30年後の二人へ
またここで再会する事を誓って ...年8月15日
さやま & いしはら -
僕は父にこのメッセージの場所をしめし、まだ息の荒い父をその場所へ。
父は全てを知っている僕に驚きの顔を見せるが、そのメッセージを見ると、僕が夢にみた少年の表情にかわっていた...
僕は父の横に座り、改めて階段から覗く世界に目をやった。
どこまでも続く 家々の窓から零れる様々な照明が 蛍のように輝いている
左方面には どこまでも続く 海の揺らぎ
たまに 遠くの灯台の光と 漁船だろうか?
まばらに 光を放ち 荘厳とした 海を照らしている
空には まばゆいばかりの星達
空の光と大地の光 座っている父と僕。
改めて、これは本当に宇宙にいる気分だ。
と、都会じゃ決して見る事ができないその風景にしばし酔いしれた。
「ちょうど、その場所だったかな...そう。
さやま...佐山良子さんが座っていた場所は」
この風景に酔いしれる僕の横で父はその佐山良子さんへの思いを綴り始めた。
最初、学校であった時の事。いじめられっこだった父の変わりに、がき大将と、派手にバトルした良子さんの勇士。
この場所で転校を聞いた事。最後の日。
良子さんが乗った電車を自転車でいつまでも追いかけていた事。
父にとって、彼女は憧れの女性。
強さと優しさをもった理想の女性だったらしい。
父が教諭の道を選んだのは、良子さんの影響によるもの。
今の僕には夢で出てきた良子さんの姿を思い浮かべ、納得する僕がそこにいた。
その後、父は母と出会い。そして僕が生まれた。
でも、父は今日、ここで約束した事はずっと忘れてはいなかった。
そんな自分自身を少しだけ責めるように
父は、それでも母を心から愛していたんだよ。と告げる。
大切な友人との約束。とうさん。判っているから。僕が誰よりもかあさんを愛している
とうさんを見てきたから...と一言だけ添えると、父の瞳からは涙が零れてきた。
(ひゅ~~~~~~~~~~~~ん! どっか~~~ん!!)
え!?思わずびっくりして、音がした方向に目をむける。
そこには七色の花火が上がり初めていた。
僕は四方に目をやる...でもどこにも、その良子さんの姿がみえない。
「...はやり、ここにはこないのか?
...この年になって、約束なんぞ...わしは夢を見ていたのか?」
今まで少年の瞳をしていた父は瞬く間に病室であう
いつもの顔に戻りつつあった。
(そんなはずない!!)
僕は立ち上がり、駆け下りるように階段を数段降りて
目を閉じ、あらゆる神様の名前を浮かべていのった。
(このままじゃ父の心が... 奇跡でもなんでもいいから、一度でいいから
父の願いをかなえてあげて...!!)
...その後も花火はむなしく鳴りつづける。
僕はそれでも父の願いをかなえてあげてほしい。それだけを祈った。
短い命だっていうんなら、せめて...!!
・
・
・
「もう少しでつくよ。ほら、早くいこっ!」
!????
階段のはるか上方で誰かの声がした。僕は目をあけて、声がする方向へと目をやる
視線の先。父も、同じく声がする方向へと目をやっていた。
しばしの沈黙...そして、父の口から
「もぉ...もう 限界...だよ
...少し...少し ここで休もう...よぉ...」
その言葉は顔が見えない僕からもどんな思いで、語っていたのかが容易に想像がつく。
ゆっくりと降りてくる声の主。その姿は僕の夢に出てきた少女そのままではなかったが、まさに佐山良子さんの面影を残していた。
そう...30年の約束は長い月日を経て、今まさに果たされようとしているのだ。
「...もぉ 仕方ないなぁ まぁ このへんでだいじょぶかな?」
と、上から降りてきた良子さんは僕が夢でみた笑顔と、30年たってもかわらない表情で父のとなりに座った。
父は僕の事を話しているらしい。
良子さんは僕に一礼をする。それにかえす僕。
...うん。これからは二人の時間だろうな
僕は二人にかるくウインクをすると階段を駆け下りた。その後ろで父の声と、そして、良子さんの声が聞こえる。
「ありがとう!」...と
背中ごしにピースをして、下っていく。なんだか、父の顔をみなくても、その喜びが目にうかぶ。不思議と僕も嬉しくなってくる。
真夏の花火は父と今さっきまでみていた以上に綺麗に花開いているようだ。
お祭りの太鼓はさらに激しさを増している。
どうせなら、お祭りでもいこっかな。その後にでも父と合流すればいい。
そいや、看護婦さんにどうイイワケしようか(汗)
いろんな事を考えて下っていく僕。
8月の蒸し暑さに負けないくらいに、今、僕の心には澄み渡った風で
満たされている。この先はどうなるかわからないけど、きっといい方向に
向かっていくんだろう。そんな気がする。
そう... 本当の夏は まだ 始まったばかり
階段の道。それは僕にとっては苦もないものだが、父にとってはかなり厳しいものであろう。何度もよろけ、倒れそうになる父を支えて。やっと、目的の場所についた。
息が切れそうになりそうなくらい激しく、何度も呼吸して、辛そうな顔を見せずに笑顔を向ける父。
その顔は、明らかに蒼白色にかわっていても、その瞳はたった一つの願いに向けて、ずっと前を見ていた。
人はどんな過酷な条件でも、思いがあれば、力に変えられるのかもしれない。
僕は気になって、例の夢でみたメッセージを探してみる。
...たしかこのへんに...?? あったあった!!
長い月日でかすれてはいたが、たしかに同じメッセージが記されていた。
- 30年後の二人へ
またここで再会する事を誓って ...年8月15日
さやま & いしはら -
僕は父にこのメッセージの場所をしめし、まだ息の荒い父をその場所へ。
父は全てを知っている僕に驚きの顔を見せるが、そのメッセージを見ると、僕が夢にみた少年の表情にかわっていた...
僕は父の横に座り、改めて階段から覗く世界に目をやった。
どこまでも続く 家々の窓から零れる様々な照明が 蛍のように輝いている
左方面には どこまでも続く 海の揺らぎ
たまに 遠くの灯台の光と 漁船だろうか?
まばらに 光を放ち 荘厳とした 海を照らしている
空には まばゆいばかりの星達
空の光と大地の光 座っている父と僕。
改めて、これは本当に宇宙にいる気分だ。
と、都会じゃ決して見る事ができないその風景にしばし酔いしれた。
「ちょうど、その場所だったかな...そう。
さやま...佐山良子さんが座っていた場所は」
この風景に酔いしれる僕の横で父はその佐山良子さんへの思いを綴り始めた。
最初、学校であった時の事。いじめられっこだった父の変わりに、がき大将と、派手にバトルした良子さんの勇士。
この場所で転校を聞いた事。最後の日。
良子さんが乗った電車を自転車でいつまでも追いかけていた事。
父にとって、彼女は憧れの女性。
強さと優しさをもった理想の女性だったらしい。
父が教諭の道を選んだのは、良子さんの影響によるもの。
今の僕には夢で出てきた良子さんの姿を思い浮かべ、納得する僕がそこにいた。
その後、父は母と出会い。そして僕が生まれた。
でも、父は今日、ここで約束した事はずっと忘れてはいなかった。
そんな自分自身を少しだけ責めるように
父は、それでも母を心から愛していたんだよ。と告げる。
大切な友人との約束。とうさん。判っているから。僕が誰よりもかあさんを愛している
とうさんを見てきたから...と一言だけ添えると、父の瞳からは涙が零れてきた。
(ひゅ~~~~~~~~~~~~ん! どっか~~~ん!!)
え!?思わずびっくりして、音がした方向に目をむける。
そこには七色の花火が上がり初めていた。
僕は四方に目をやる...でもどこにも、その良子さんの姿がみえない。
「...はやり、ここにはこないのか?
...この年になって、約束なんぞ...わしは夢を見ていたのか?」
今まで少年の瞳をしていた父は瞬く間に病室であう
いつもの顔に戻りつつあった。
(そんなはずない!!)
僕は立ち上がり、駆け下りるように階段を数段降りて
目を閉じ、あらゆる神様の名前を浮かべていのった。
(このままじゃ父の心が... 奇跡でもなんでもいいから、一度でいいから
父の願いをかなえてあげて...!!)
...その後も花火はむなしく鳴りつづける。
僕はそれでも父の願いをかなえてあげてほしい。それだけを祈った。
短い命だっていうんなら、せめて...!!
・
・
・
「もう少しでつくよ。ほら、早くいこっ!」
!????
階段のはるか上方で誰かの声がした。僕は目をあけて、声がする方向へと目をやる
視線の先。父も、同じく声がする方向へと目をやっていた。
しばしの沈黙...そして、父の口から
「もぉ...もう 限界...だよ
...少し...少し ここで休もう...よぉ...」
その言葉は顔が見えない僕からもどんな思いで、語っていたのかが容易に想像がつく。
ゆっくりと降りてくる声の主。その姿は僕の夢に出てきた少女そのままではなかったが、まさに佐山良子さんの面影を残していた。
そう...30年の約束は長い月日を経て、今まさに果たされようとしているのだ。
「...もぉ 仕方ないなぁ まぁ このへんでだいじょぶかな?」
と、上から降りてきた良子さんは僕が夢でみた笑顔と、30年たってもかわらない表情で父のとなりに座った。
父は僕の事を話しているらしい。
良子さんは僕に一礼をする。それにかえす僕。
...うん。これからは二人の時間だろうな
僕は二人にかるくウインクをすると階段を駆け下りた。その後ろで父の声と、そして、良子さんの声が聞こえる。
「ありがとう!」...と
背中ごしにピースをして、下っていく。なんだか、父の顔をみなくても、その喜びが目にうかぶ。不思議と僕も嬉しくなってくる。
真夏の花火は父と今さっきまでみていた以上に綺麗に花開いているようだ。
お祭りの太鼓はさらに激しさを増している。
どうせなら、お祭りでもいこっかな。その後にでも父と合流すればいい。
そいや、看護婦さんにどうイイワケしようか(汗)
いろんな事を考えて下っていく僕。
8月の蒸し暑さに負けないくらいに、今、僕の心には澄み渡った風で
満たされている。この先はどうなるかわからないけど、きっといい方向に
向かっていくんだろう。そんな気がする。
そう... 本当の夏は まだ 始まったばかり