父の後ろ姿 | 私SLE、父心不全

私SLE、父心不全

私は、15歳からSLE(全身性エリテマトーデス)と付き合ってきました。一昨年の五月に、ずっと支え続けてくれた母が、他界しました。母の死後、精神的にも肉体的にも、さまざまな症状に苦しんできましたが、ここで、父が心不全、でも今のところ見守りです。

 父は、明らかにアスペルガー症候群といってよかったから、家族はもちろん、集まってきた学生さんの中にも、苦労させられた人は多かったと思う。
 激しい性格の上に、物事を論理的に語ることに、長けていたので、反論するのは、容易ではなかった。
 私は、父を殺したいほどに憎んだこともあった。でも、その圧倒的な支配力には、従うしかなかった。
 私が、父の論理的弱点を突くことができるようになって、父の思考回路を理解するようになったのは、ずいぶん後のことだった。
 それでも、私には、父が好まないであろう、私なりの持論をぶつけることはできなかった。
 要するに、手強いオヤジだった(笑)
 二年前、不整脈で入院した時、父には思うところがあったらしい。
 その頃、ライフワークとしていた酒折の宮に伝わる、問答歌の研究に必死で取り組むようになった。
 今思うと、その最中にも、狭心症的発作は起こしていたのではないかと思う。
 研究が中断されまいと、そればかり考えていたのだと思う。
 中国の古い文献から読み解いたその論文が書き終わった翌日、父が私のところにやって来て、使わずたまったお金と原稿を手渡した。そして、具合が悪いから、医師に連絡をとって欲しいと言った。
 
 父とはいろいろなことがあった。猛反発したこともしょっちゅうだった。家庭向きの人では、全然なかった。
 でも、この二年間、一筋に研究に打ち込み、論文を書き上げ、崩れるように、病に堕ちていった父の後ろ姿に、娘としてではなく人として、深い尊敬の思いを、私は抱きはじめている。

 父の論文はいずれ、どこかに残そうと思う。父のささやかな、そのほかの業績とともに。