創作◆あなたと始める物語は。⑥★《ダーリンは芸能人》二次創作短編 | 二次元のカレに逃避中♪

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主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
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注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。




 あなたと始める物語は。⑥

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《ダーリンは芸能人》二次創作短編




―――二度と遭いたくない…と思っていたけれど。

(何でこんなところに!?)

その翌日の夜、行きつけの近所のスーパーに彼、中西京介はいた。


「あー…ははは…」


苦笑いを零す彼に大人げなくも会釈すらせず無言で回れ右90°をして、別のレジへと向かう。

3日連続ってどういうこと?

このスーパーに来るってまさかまさか生活圏が被ってるとか!?

いくら何でもそんなはずは。

いろんなことを考えながらお会計が済んだ商品をエコバッグに詰めてスーパーを後にした。

が。

後ろから聞こえてくる足音に振り返ると彼がいて。

いくら相手が芸能人とはいえ。

いくら一昨日にマンション前まで送ってもらって住んでるところが知られているとはいえ、付いてこられるのは気味が悪い。


「どういうつもりですか!!」


勇気を出して彼と対峙してみた。


「んーと、オレらもココに住んでるんだよね」

「……へ?」


へらっと苦笑いして彼が指差したのは紛れもなく私の住んでるマンションだ。


「えっ…、で、ても一昨日、私を降ろしてまた道を戻って」

「うん。 ここの地下駐車場の入口は裏手にあるの」


車は持っていないから気にしたことはなかったのだけど。

このマンションの駐車場には棟の横にある機械式のものと地下にある平面のものとがあるらしい。

特に地下駐車場の入口は、この正面エントランスを基準にすると一旦前の道路に出てぐるりと回らなければいけないのだとか。

そういえば、住所を伝えただけで正面エントランスの前に車を付けてくれたんだっけ。

このマンションの正面エントランスは前の道路からかなり奥まってて初見は分かりづらく、一度は通り過ぎてしまう訪問者が多いのだ。


「ってことで、別にストーカーじゃないからね?」

「…」


それはそれとして、もはや頭がついていってない。

てか、ココに住んで4年経っているけれど、芸能人が住んでるなんて聞いたこともなかったんだけど。

何だか秘密をバラされて開き直った国会議員のようにスッキリとした顔をして、中西京介は正面エントランスへと入っていった。

インターフォンパネルに彼がカードキーを挿頭して表示された部屋の番号は2705。

27階、つまり最上階だ。

それからポケットから取り出した鍵をパネル横の鍵穴に挿し込んで回すと自動ドアが開き、彼は入っていく。

何をどう考えても、その行動は彼がここの住人である証拠だった。




エレベーターホールで彼とは少し離れて立っていた。


「そんなに警戒しなくても」

「警戒なんてしてませんよ。 変な写真撮られてたら中西さんの方が困るでしょう?」

「ここはそういったセキュリティはバッチリだから大丈夫だよ」


やがてやってきたエレベーターに二人で乗り込むと、彼は27階のボタンを押す。


「おねーさんは何階?」

「7階です」

「りょーかい、っと。
 同じマンションの住民としてこれからよろしくね」


これからよろしく、とは?

単なる社交辞令??

一体、どういった意味で言ってるのだろうか。

一般人と芸能人、余程のことがないと交流することはないのに。

しかも私はあと1ヶ月弱で引っ越さなければならないのに。

返事をしないまま、エレベーターは私の住む7階に着いた。


「じゃ…」

「あ、おねーさん! 名前! 名前教えて」

「え…」


何故か、胸がトクリと鳴った。

だけど…。


「もう会えないから教えない」

「…は?」

「じゃーね」

「えっ、ちょっ…」


中西京介の戸惑いの声を遮るようにしてエレベーターの扉は閉まった。

もう会うこともない、たかが一般人の名前を知ってどうするのよ。

得することなんて何もないじゃない…と思っていたら。


「もう会えないって…?」

「えっ…?」


彼が追いかけてきたのだ。

自分の部屋の扉の前で、何がなんだか分からない状態に私の思考が停止した。


「えっと…ごめん。 自分でも分からないけど、何か身体が動いて」

「…はい?」

「何やってんだろ、オレ…」


戸惑った様子のカレだけど、この表情は演技?

だとしても、彼に何か得がある?


「そ、それよりも…!
 もう会えないってどういう」

「…ココを引っ越さなきゃいけないのよ」

「え、なんで?」

「…入る?」


そう言ってハタと気が付いた。

…何を言ってるんだろう、私。

全く知らない人を部屋に誘うなんて。

だけど引っ越しの理由をこんなところで言いたくないし。

と言うより、彼に教える義務もないよね?


「ごめん、今のナシ。
 引っ越しの理由は一身上の都合。 じゃ」


くるりと彼に背を向けて鍵を開け、ソッコーで部屋に入った。

そしてワザと大きな音を立てて鍵を閉めた。


〜 to be continued 〜