注意 当、二次創作小説(シナリオ)を初めて読まれる方は先にこちらをごらんください。
義人がヒロインを呼び出す理由として、家具の隙間に落ちたものを取ってもらうってのを書いてた当時は考えてたのですが、その後そのネタを《淡雪》で使っちゃったので変えようとしたら、思い浮かばなくて停滞しちゃいました……orz
南の島にて with 三池亮太⑨
~ Southern Island's requiem ~
★
《ダーリンは芸能人》二次創作短編
亮太くんが宥めるように私の頭を撫で、もう一度軽く唇を触れ合わせて部屋から出ていった。
現金なもので、たったそれだけで明日のシーンは何とかなると思えるから不思議だ。
「さて、寝よっかな」
就寝前のハミガキを済ませ、ベッドに入って明日のシーンをおさらいしていると、部屋に備え付けられている電話が鳴った。
誰だろ…とそれに出る。
「はい」
『海尋ちゃん……ちょっと手伝ってほしいんだけど』
その声は義人くんだった。
夜も更けたというのに、一体ナニゴトだろう?
「え? どうしたの?」
『うん、ちょっと。 海尋ちゃんにしか出来ない』
「いまから?」
『そう』
時間が時間だし、内容がハッキリしないって時点で行ってもいいものかと悩む。
だけど、普段頼みごとなんてしない彼。
それに確か一磨さんと同じ部屋だったハズで、この時間なら彼ももう部屋にいるだろうし、本当に私にしか出来ないことならばと行くことにした。
「わかった……すぐに行くね」
『ごめん、助かる』
それにしても、私にしか出来ないコトってホントになんだろう……。
そんなことを考えつつ、ナイトウェアをもう一度普段着に着替えて部屋を出ると、京介くんにバッタリと会った。
服装からしてどうやらまた外に行こうとしているようだけど。
義人くんもバテ気味なほど今日は暑かったし、明日も早くから撮影があるのに元気だなーと思っていると、京介くんはニヤニヤとしながら尋ねる。
「どこに行くの? 亮太のことに夜這い??」
「よ、よばっ…!
ち、違うよ! ちょっと手伝ってほしいって義人くんから電話があったの!」
「…義人から?」
義人くんの名前を出した途端、京介くんの眉が怪訝そうにひそめられたことに気付く。
なんで?と思うと同時に京介くんは「…オレも一緒に行こうか?」と言った。
一呼吸遅れての言葉が何となく引っかかるけれど。
「ううん、たいした用事じゃないだろうからいいよ。
それよりも京介くん、これからお出かけするんでしょ? 気を付けていってらっしゃい」
京介くんのその言動に意味なんてあるはずがないと、私は彼に背を向けて義人くんたちの部屋のドアをノックした。
「義人くん? 海尋です」
少しして開いた扉。
無表情で立っている義人くん。
彼の背の向こうは仄暗くて。
(あれ? 一磨さん、もう寝てるんじゃ……)
さらに青白く発光する靄のようなものが部屋中に漂っているのが見える。
ゾクリと背中に悪寒が走ると同時にその靄がこちらに向かってきて、私に纏わり付いたかと思うと見えない力で引っ張られた。
「!?」
その靄が荒々しく私の体をベッドの上に横たえたかと義人くんが覆い被さってきて。
「よ……義人くんっ?! やめて…! やだ……!」
『どうしてキミは……』
「!?」
地を這うような重々しい声は義人くんのものではなかった。
目の前にいるのは確かに義人くんなのに、義人くんじゃない……?
私を押さえつけている彼の顔をじっと見る。
「あなた……誰?」
『鞠子さん…私を忘れたんですか?』
「! 私は鞠子なんて名前じゃ……」
『信じてたのに……ここに戻ってくるとずっと信じてたのに……』
義人くんじゃない義人くんが私に覆いかぶさったとき―――突然、ドアが開いた。
〜 to be continued 〜