創作◆南の島にてwith三池亮太⑧★《ダーリンは芸能人》二次創作短編 | 二次元のカレに逃避中♪

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2014/11


南の島にて with 三池亮太⑧

~ Southern Island's requiem ~



《ダーリンは芸能人》二次創作短編





その日もみんなと一緒に夕食を取るハズだったけれど、ダイニングルームに義人くんは来なかった。

今日の日中はここ最近の中では一番暑かった上に、軍服を着ていたために暑さにやられたのではないかとみんなは言う。

彼と顔を合わさなくてよかったと、心のどこかで安心する私がいた。


「海尋ちゃんも熱中症には気を付けなよ」

「うん、ありがとう。 お互いに気を付けようね」


そんな風に始まったお夕食は初日と同じバイキング形式で、私は再びたくさんのおかずを皿に盛ってみんなと同じ席につく。

いただきますの合掌をしてからこの島でメイン料理となる○○を頬張った。


「うーん、美味しー」

「てか、なに、今日のあのシーン! 海尋ちゃん、マジで義人にキスされたんじゃ」

「ぶっ…」


翔くんが興奮したようにいきなり言い出したものだから、もう少しで口の中の物を噴き出しそうになり、それをなんとか抑えた。

いやホントにされたんだけど…とはもちろん言えず、手で口を押さえてモゴモゴと咀嚼しながら翔くんの方を見ると、その隣に座ってる京介くんがバシッと彼の頭を叩く。


「いってぇ! 何すんだよ!」

「デリカシーなさすぎ、興奮しすぎ。

 それだけ義人と海尋ちゃんの演技が上手かったってことだろ? 余計なコト言うなよー」

「うー」


その時、隣から何やら寒々しいというかどす黒いというか、そんな空気を感じた。

そっとそちらを見ると、亮太くんが口は笑ってるけど目が全く笑ってない状態で翔くんに視線を向けている。

それに気付いたのか、真向かいに座る彼らは顔を引き攣らせた。


「翔ちゃーん、もう少し言葉を選ぼっかー」

「は、はい…」

「そもそも? 義人が? 『僕』の目の前で? 本当に彼女にキスするなんて? アリエナイよねー?」

「お、仰るとおりで…」

「それとも、翔ちゃんは『僕』を煽ってるのかなー?」

「め、滅相もゴザイマセン…」


亮太くんにネチネチと言われて身を縮こませる翔くん。

こういう時の亮太くんはなかなか機嫌が直らず、“口”撃が続くので、私は助け船を出すことにした。


「ま、まぁまぁ亮太くん。

 自分で言うのもなんだけど、そういう風に見えたんなら演技としては良かったって訳だからさ…」

「……だいたい配役からしてムカついてたのに」


私にしか聞こえない小さな声で亮太くんがそう言う。

そう、このドラマのお話が来て配役を見た彼は、他の人には分からないくらいのほんの少しだけど荒れた。

恋人である私が、役の中とはいえ亮太くんよりも義人くんを選ぶのだ。

仕事と現実をごちゃ混ぜにしてはいけないとは分かっていても、彼にとって面白くない内容であることは想像に難くない。

だけど割り切って何とか頑張ってたわけだ。

今回の配役では、ドラマの内容から青年将校の役としては小悪魔的な路線をいく亮太くんよりも真面目で物静かな雰囲気の義人くんの方が合うと見なされた。

家長の教えや言葉が絶対だった時代、階級が上にいけばいくほど結婚は家同士の利害関係が絡み合うものとなりがちで、本人たちの意思や感情は蔑ろにされていた部分はあった。

それでいて婚約者以外の異性と心を通わせることは到底許されることではない。

家同士の結びつきの為の結婚とはいえ、心は別の男にあるというのは婚約者当人にとっては堪ったものではなかっただろう。

他の男に心を持っていかれたという点においては気持ちを乗せやすいのは確かだけどねと、亮太くんは言ったこともあったけど、やはり寂しげで。

そんな経緯があって、撮影中は相当ガマンしていたみたいだから、普段ならキレない言葉でも限界に達したのだろうな…。

フリじゃなくて本当に義人くんにキスされたことを亮太くんに言うべきなのだろうかと悩んでいたけれど、この一連の流れから考えると絶対に言わない方がいいと判断する。


「海尋ちゃん? どした?」

「え? なにが??」

「何か考え込んでるみたいだから」

「そんな風に見えた?」

「うん」

「亮太くんの気のせいじゃない?

 ホントに何も考えてないんだけどな」

「……なんか、誤魔化すのが上手くなってきたんじゃない?」

「えー、誤魔化すってなによー。 ひどーい」


頬を膨らませると、それを亮太くんが突付く。

二人で戯けながらお皿の食べ物を平らげて、食事の時間は過ぎていったのだった。




食事を終えて、それぞれの部屋に戻ることになった。

本当はもっと亮太くんと一緒に居たかったのだけど、明日は夜が明ける前のシーンを撮るために早目に就寝することにしたのだ。


「じゃあ、おやすみ」

「うん…」


扉を開けて部屋に入ろうとしたけれど、突然不安になって、私は思わず亮太くんのシャツの裾を摘む。


「海尋ちゃん?」

「あ、はは…。

 ……ごめんね、わかってはいるんだけど」

「もー」


亮太くんは仕方ないなという顔をして、周りを少し窺ったあと、私の部屋に一緒に入った。


「…やっぱり、何かあった?」


私は首を横に振り、彼に抱き付く。


「何かあったとかじゃなくて……うまく出来るか不安なの…。 明日のは…婚約者の手を振り払って逃げるシーンがあるから……」

「大丈夫だよ、海尋ちゃんなら出来る。 俺が言うんだから間違いない」

「……うん…。

 じゃあ頑張るから、キスして?」


亮太くんは「じゃあ、ってなにさ」と苦笑して「海尋なら出来る」と囁きながら両方の頬に優しいキスをしてくれた。

そしてその手のひらで私の頬を包み込み、蕩けるようなキスを唇へと―――。


〜 to be continued 〜