超々久しぶりのレポです。
たしか、《ダーリンは芸能人♡LastScandal》のラストイベだったかと。
保存しそこなって抜けてるところがあり、当該箇所を補完しているため内容が異なってることがあります。ご了承ください。
《ダーリンは芸能人♡LastScandal》
ラストイベント
★
JUNE BRIDE 〜中西京介ver.〜①
―――甘く痺れるようなキスを交わした後、京介くんは至近距離で私を見つめる。
その顔が余裕に満ちているのは、この先カレがする問いかけへの、私の返答が分かっているからかもしれない。
「……この先の未来も全部、俺のものになってくれるよね?」
(京介くん……)
感動に心を震わせながら頷くと、カレの目が細くなって顔が再び近づいてくる。
くちづけの予感に目を閉じ、唇が触れ合うのを待つが……。
“チュッ”
柔らかい感触を唇ではなく、首の後ろの辺りに覚えて、私は目を開ける。
(あれ……?)
次の瞬間、カレが目の前ではなく、後ろから私を抱きしめていることに気がついた。
「……おはよう。すごく幸せそうな顔してたけど、どんな夢見てたの?」
「あ……」
振り返り、実物のカレの存在を確かめながら、自分が夢を見ていたのだと理解する。
「あれ?赤くなった。もしかして言えないような内容?」
「そ、それは、その、言えないわけじゃなくて」
夢の中と同じ余裕の表情を浮かべながら私の髪を撫でる京介くん。
その間にも私の頬はどんどん熱くなっていく。
(またあの時のことを夢で見ちゃった)
「お、覚えてないよ。起きた瞬間、忘れちゃったみたい」
「ふぅん。ま、信じてあげてもいいよ。○○ちゃんが俺の欲望を満たしてくれるならね?」
「よ、欲望って……もう朝だよ?!」
「だから、お腹がすいたからご飯作って、って意味だったんだけど、なんか違う風に考えてる?それならそれでもいいけど」
京介くんは耳元に唇を近づけながら、私の上に覆いかぶさってくる。
「さっきまで見てた夢、こういうことしてたんじゃない?」
「ち、違います!」
(少し近いけど……)
ついばむようなキスを受けながらも、なんとか彼の腕の下から抜け出す。
「朝食の準備してるから、京介くんはおとなしく待ってて」
「おとなしくって……」
京介くんはクスクス笑いながらベッドの上に座りなおして髪をかき上げていた。
(京介くんには相変わらず振り回されっぱなしだな…)
夢に出てきたあのシーン……プロポーズを受けたものの二人の関係は今までと変わっていない。
(結婚について具体的な話もしていないし……けど私たちらしく進んで行けばいいよね?)
朝食をリビングに運ぶ。
「京介くん、出来たよ」
「ん、ありがとう」
ソファーに座って、どことなく真剣な眼差しでテレビを見ている京介くん。
『○○さんのライブの演出をしたのは、waveの中西京介さんです。
中西さんの演出は高く評価され、様々なアーティストから演出依頼が殺到していて―――』
「京介くんのニュースだ……」
「俺っていうか、○○ちゃんのライブが大成功したってニュースだと思うけど」
「ううん、私より、京介くんの演出が注目されているよ」
画面は、私が歌う映像から京介くんがスタッフに指示を出しているものに変わり、それを受け、司会者とコメンテーターたちが話を始める。
『私、このライブ見に行きましたよ!細部にまでこだわった演出ですごく良かった〜』
『中西さんは今、業界内でひっぱりだこらしいですよ』
(そうなんだ……!確かに京介くん、打ち合わせとかで最近特に忙しいもんね)
「ひっぱりだこだなんてそんなことはないと思うけど……、ま、○○ちゃんのライブが評価されるのは良いニュースだからいいけどね。
……いただきます」
京介くんは照れを誤魔化すようにトーストにかじりつく。
「ふふ……」
(照れてる横顔は可愛いな……)
黙って見つめていると、京介くんの視線がこちらに向いた。
「ほら、○○ちゃんも早く食べなよ」
「はーい」
京介くんはトーストを取ると私の口元に差し出してきて、私はクスッと笑いながらそれを受け取る。
微笑みながら、私も朝ごはんを食べ始め、一段落したところで京介くんが近くに置いてあった封筒に手を伸ばした。
「家で仕事の話はあんまりしたくないんだけど、この企画書、目を通してくれる?」
「私が?」
「うん。俺が担当するイベントで、○○ちゃんの意見を聞きたいから」
(京介くんの仕事に、私が意見を……)
ちょっぴり緊張して、そして嬉しく思いながらマグカップを置いて封筒を開ける。
そこには《○○デビュー2周年アニバーサリーライブ企画書》と書かれた資料が入っていた。
「これって……」
「そう。今度○○ちゃんがやるライブの企画書。俺がまた演出を担当させてもらうことになったんだ」
京介くんはいたずらが成功した子供のような笑みを浮かべる。
「また京介くんが演出してくれるなんて……!」
「○○ちゃんは歌手でもあるけどファッションリーダーでもある。だからライブとファッションショーが融合したイベントを考えてるんだけど」
企画書にはステージの図案が書かれ、協力者の欄には有名ファッションデザイナーたちの名前が連なっていた。
「こんな有名な人たちが協力してくれるの?」
「○○ちゃんの衣装をデザインしてもらおうと思って。ほとんどの人からも OK をもらってるよ」
「すごい……。これまでにない新しいライブになりそう……」
「まあね、それを目指してるからね」
興奮しながら横を見ると、京介くんは満足げな顔つきになる。
そして別の封筒を手に取った。
「こっちも見てくれない?これも○○ちゃんに関わるイベントなんだ」
「もう1件?」
「かなり重要なのがね」
「ライブより重要なイベントって?」
首をかしげながら封筒を開ける。
そこには……結婚式場のパンフレットや雑誌が入っていた。
「これって……!」
「具体的に日取りと式場を決めなきゃでしょ?」
「京介くん……!」
京介くんは口の端をあげるとそのまま私との顔の距離を縮める。
ついばむようなキス。
微かな音を立てて、唇が離れていった。
「○○ちゃんの花嫁姿、早く見たいな」
もう何度もキスはしているのに、唇を離した後の京介くんの色っぽい表情を見るたびに心臓が跳ね上がる。
「式のことは俺も考えてるけど、○○ちゃんの考えも教えてね。
あ、でも、指輪のデザインは俺に任せてくれる?○○ちゃんに似合うものをプレゼントしたいから」
(京介くんなら素敵なものを贈ってくれそう)
「わかった!楽しみにしてるね。でも……」
「ん?」
「仕事もたくさんあって、結婚式もあって、指輪のデザインもなんて大変かなって思ったの。
いくら京介くんが器用でも」
すると京介くんは目を細めて私を引っ張り、背中から抱きしめるようにする。
「わっ」
「……心配しないで、楽しみにだけしてて?」
「う、うん」
耳元に落ちてくる囁きにドキドキしながら首を縦に振ると、クスっという声が聞こえてきた。
「ドレスと白無垢、どつち着たい?どっちも似合いそうだけどさ。
あ、それより場所を決めるのが先かな?」
つぶやきながらパラパラと雑誌をめくり始める京介くん。
(心配しなくても大丈夫かな?)
彼の腕の中で安心感に包まれる私。
微笑みながら一緒に雑誌に目を通すのだった。
〜 to be continued 〜