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Staticeの花言葉とともに with 中西京介76
~ダーリンは芸能人・妄想2次小説43~
家に入るまで気を抜くなと言われ、いつもならマンションエントランスで別れる山田さんは本当に玄関扉の前まで送り届けてくれた。
私がドアを開け玄関ポーチに入ってようやく彼は踵を返して帰っていく。
その後姿に頭を下げ、ドアを閉めたとき、京介くんの靴があることに気がついた。
彼の今日のスケジュールを思い出し、予想よりも早い帰りに嬉しくなったが、何故か不安感もこみあげてくる。
私は一息ついてからリビングへと続く廊下を進んだ。
一足ごと、廊下を進むたびに微かに聞こえてくる声。
どうも電話をしているように聞こえ、私はその足を止めた。
(…誰と電話してるんだろう)
内容はわからないものの時々彼が語気を荒げているのがわかる。
友だち同士の会話にしては少し剣呑過ぎる。
私は、立ち聞きしていることに不安を覚えて、極力いつものように声を掛けた。
「京介くん、早かったんだね」
リビングへのドアを開けてそう言う私を見た京介くんは、少し青ざめた表情で、でもその相手には険しい顔をしてひと言告げで電話を切った。
「切っちゃってよかったの?」
「…ん、大丈夫」
「そう…」
どんな内容だったのか気になるけれど、いま聞いても絶対にはぐらかされそうな気はする。
この様子だと相手が誰だったのかさえも教えてくれないことは予想できる。
たぶん私には触れてほしくない相手で…。
ただ、今日のあの人の態度から、彼女である可能性も否定できない。
「あのね、京介くん、帰る直前に局でちがやさんに偶然会って…、それで、そのときあの人に…マナミさんに声を掛けられたの」
「!!!」
「それで、あの…」
続きを言おうとした時、不意に京介くんに力強く抱きしめられた。
(え…っ)
「なにも、されなかった…?」
「え、た、たぶん…?」
「……海尋は…心配しなくていい……」
「京介、くん…?」
「オレが、守るから―――」
より一層強い力で抱きしめられたかと思うと、宥めるようなキスが落ちてきた。
幼い子供をあやすように優しく、そして、存在を確かめるように何度も。
幾度となく離れてはまた求めて、次第にそのキスが激しさを増すようになり―――。
身体の奥底に灯り始めた淫らな熱は、彼女のあの言葉を忘れさせるかのようにやがて全身を支配していく。
「海尋…」
切なくさせるほどの哀しい声音で名を呼ぶ京介くんを、私はかき抱いた。
お互いの熱が混ざり合い、本能を昂ぶらせていく。
やがて淫靡な水音が部屋を満たして…お互いを求める息遣いの中で私たちは融け合っていった―――。
~ to be continued ~