創作◆Staticeの花言葉とともに with 中西京介74 | 二次元のカレに逃避中♪

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主に、SNSアプリの乙女ゲームについてのレポ、および携帯恋愛ゲーム《ダーリンは芸能人》(LoveDuetを除く)をベースとした妄想2次小説を書いてます。※PC推奨です
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当《ダーリンは芸能人》二次創作を初めて読まれる方は、必ず先にこちら をごらんください。



 
 
Staticeの花言葉とともに with 中西京介74
 
~ダーリンは芸能人・妄想2次小説43~
 

 
 

「ちょっ、あなた…! 京介さんは」

「―――では、ちがやさん、よろしくお願いしますね」

 

何も言い返さない私に代わってちがやさんが激昂した様子で言ってくれたけれど、それを意にも介さずにマナミさんは再びニッコリと笑って去っていった。

私としては、彼女からの接触はいつかはあるだろうと、そして、いま言われたことはいつか言われるだろうと予想はしていたけれど、実際にそういう瞬間になって初めて頭が真っ白になって結局は何も言えなかった。

ただ、それよりもちがやさんとマナミさんに接点があったことのほうが驚きの度合いが大きい。

 

「海尋さん、気にしない方が」

「…あはは、気になるのは確かだけど…。

 それよりも、ちがやさんと彼女が知り合いだったっていうほうが驚きで」

「あ…」

 

ちがやさんが少しバツの悪そうな表情を浮かべて俯く。

だけどフッと顔をあげ、割り切った表情でマナミさんとの関係を口にした。

 

「少し前からなんだけど、彼女の所属事務所に移籍するようにって母から言われてるの。

 それで…彼女の事務所に出資してるのが、私の『兄』なの」

「えっ…おにい、さん…? ちがやさん、お兄さんいたの??」

「ええ…。 っていっても、初めて会ったのは3年前で…」

「え???」

「『兄』のほうもその時に私を初めて知ったらしくて、お互いにお互いを知らなかったっていうか…あの……」

 

少し歯切れの悪い言い方をしてるのは、どこまで話をしてもいいのかを彼女自身が迷っているからなのか。

しかし、3年前に初めて会ったってどういうことなのだろう。

何らかの事情で別々に育てられ、一度も接点を持たなかったということか。

ちがやさんは一時的に施設に預けられていたものの、それ以降は母親である北見川さんと暮らしていた。

つまり、その『おにいさん』だけが別のところで養育されていたということ…?

 

「―――ちがや、何してるの。 次、行くわよ」

 

私たちの沈黙を破るように聞こえた声は佐伯さんのものだった。

そういえば舞台の番宣に来てたって言ってたから、彼女も一緒だったということか。

 

「あっ、はい! いま行きます!

 じゃ、海尋さん、また連絡するわ」

「う、うん」

「…時間があるときに、きちんと話します」

 

そういうとちがやさんは佐伯さんの元へと走っていった。

―――きちんと話をする…?

それは事務所の話?

それとも『おにいさん』のこと?

だけどその両方とも私に関係ないのは確かで。

他の理由は大して思いつかず、私は頭の中に疑問符を浮かべながら二人の背中を見送った。

その姿が見えなくなって、ふと近くの時計を見る。

時間は午後7時を回ったところ。

山田さんが迎えに来てくれるまで次の予定を再確認しているとき、スマホの着信音が鳴った。

 

『海尋、どこにいる?』

「お疲れさまです。 クローク近くにいます。

 山田さん、どのあたりにいらっしゃいますか?」

『地上のB4エリアに停めてある』

「わかりました、そちらに向かいます」

 

山田さんとのやりとりを終え、すぐに駐車場に向かう。

いつもの見慣れた車を指定されたエリアに見つけ、楽屋入口から足を踏み出した時だった。

タイヤの軋む音を耳にして―――。

 

「―――っ!」

 

間一髪のところで車にぶつかるのを避けたものの。

その勢いで地面に倒れこんでしまった。

車がそのまま走り去っていくのを見た瞬間、痛みよりも先に気付く。

―――その相手は悪意を持って私を轢こうとしたことに。

 

「海尋…っ!」

 

一部始終を見ていたのか、山田さんが真っ青な顔で駆け寄ってくる。

 

「大丈夫か!? 怪我は…!」

「は、はい…大丈、夫……」

 

山田さんは私の怪我と無事を確認したあと、すぐさまどこかに連絡を入れた。

ややしばらくして駆けつけてきたのは佐倉さんだった。

車の特徴とかその前後の話とか今回もまたいろいろ聞かれたけれど、体験した以上のことを話すことは出来なくて…。

これまでの経緯を考えると、一連の犯行である可能性は大きくて。

今回も再び調書を取られた後、私たちは解放された。

 

「いったい、誰なんだ…!」

 

山田さんのイライラした様子が、後部座席に座っている私にも伝わってくる。

最初の脅迫状が来てから既に2年近く経っていて、一向に解決する目処が立たない。

それどころか、事態が複雑化している気もする。

完全に身を守る方法と言えば、それこそ家に籠っていることくらいしかなくて。

でも、家に籠ってても何も解決しない…。

 

「この様子だと、常時誰かが一緒に居たほうがよさそうだな」

「でも、それじゃあ皆さんの負担に…」

「もうそんなこと言ってる場合じゃない」

「……」

 

山田さんが言うことももっともだけど、私と一緒にいることで同じような危険な目に遭う可能性もあることで。

 

(どうすれば…)

 

いくら考えても答えは出なかった。

 

~ to be continued ~