創作◆Staticeの花言葉とともに with 中西京介39★ダーリンは芸能人・妄想2次小説43 | 二次元のカレに逃避中♪

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Staticeの花言葉とともに with 中西京介39








4ヶ月にもわたるJADE+としての活動が終了した。

ドラマや番組アシスタントなどの他のお仕事もとても有意義で楽しくはあるけれど、歌手としての活動はそれ以上に充実感を味わえて、改めて歌うことが好きだと実感する。

神堂さんは引き続いて個人での曲を提供してくれるというので、その合間に去年から続いているホームセキュリティCMのお仕事が入ることになった。


「お疲れさまでした」


そのお仕事も第3弾ということとスタッフが全員いつものメンバーということで、朝から始まった撮影は夕方になるころには終了した。

グダグダで進行する撮影は最後にはぐったりとして疲労感が半端ないけれど、こうもスッキリと手際よく進められる撮影は終わった頃には疲れが意外と心地よかったりする。

テキパキと動く現場スタッフさんたちに声を掛けた私は、次の仕事に向かうために撮影スタジオを後にして控え室へと急ぐ。


「海尋さん」


女子更衣室の一歩手前で声を掛けられた。

その声に振りかえると、クライアントの岡本さんとCMプランナーの夏目さんの二人がそこにいる。

撮影の進行がスムーズなのは、夏目さんの力が大きいだろう。


「あ、お疲れさまです。 今回もありがとうございました」

「こちらこそ…。

 それで、ですね、このあと簡単な打ち上げをと思いまして…お時間ありますか?」

「うゎぁ、お誘い嬉しいですけどゴメンナサイ! 珍しく今日はまだお仕事あるんですよー」

「あ…そう、ですか」


一瞬気落ちした表情を見せた岡本さんの背を夏目さんがポンポンと叩く。


「いまいちばんの売れっ子さんに突然言っても無理だと言ったろ?

 海尋さん、じゃあ、また近いうちに声掛けさせて下さいね」

「はい、お願いします!」


夏目さんの言葉に返事をして頭を下げると、今度は十真さんが声を掛けてきた。


「海尋ちゃん、次はどこ?」

「えっと、N局です」

「そっか、残念。 A局なら一緒に行こうと思ったんだけど」

「十真さんって自分の車じゃなかったですか? 私乗せたら、あることないこと書かれますよ?」

「うーん、ないこと書かれるのはいいけど、あること書かれるの嫌だなー」

「どんな『あること』なんですか、それ!」

「はは。 …じゃ、またな」

「はいっ、お疲れさまでした」


女性更衣室の前で3人と別れ、急いで出る支度をする。

借り物の衣装をハンガーに掛け、衣裳係のスタッフさんに挨拶をして階段を駆け降りた。


「海尋、急げ!」

「はいっ」


迎えに来てくれていた山田さんの車に乗り込むと、すぐにN局へと向かう。

その途中、視線を外に向けると街の色が紫とオレンジ色の光に彩られているのが見えた。

ちょうどいまは逢魔が時と言われる時刻。

街を歩く人たちは仕事を終えたのか最寄りの駅へと急いでいる。

不意に視線を元に戻し、リアシートに深く身体を沈めて一息をつく。

目を閉じたとき、鞄の中で電話の着信を告げる着メロが聴こえた。


「あ、神堂さんからですけど、出ていいですか?」

「ああ」

「ありがとうございます」


鞄の中から聞こえる着メロでそれが誰からなのかわかるのは個人別に設定しているからだ。

例えば、神堂さんからは「Angel」、夏輝さんからは「Message」、一磨さんからは「Eternal sunshihe」…というように。

電話の向こうには見えないけれど、姿勢を正して神堂さんからの電話に出る。


「…はい、海尋です」

『神堂です。 いま大丈夫?』

「大丈夫です。 車で移動中なので」

『そうか。

 曲が出来上がった。 早々にスタジオへ来てもらいたいのだが』

「わ、ありがとうございます! 明日なら大丈夫です」

『じゃ、場所と時間は連絡する』

「はいっ、よろしくお願いします!」


短いやりとりのあと、通話を終了させると、運転中の山田さんが口を開く。


「…よかったな」

「はい。 こんなに早くいただけるなんて、本当に嬉しいです」


思ったままを口にすると山田さんが笑みを浮かべているのがバックミラー越しに見えた。

JADE+としての活動後すぐに個人での活動が出来るようにしてくれる神堂さんには本当に感謝だ。

ただ私の声を気に入ってくれたというだけでこんなにもたくさんの歌を歌わせてくれるなんて…。


(また、神堂さんの作った歌が歌える…嬉しい……)


気分を高揚させたまま再びリアシートに身を沈め、嬉しい知らせをもたらしたスマホを両方の手のひらで包む。

と、手のひらの中のスマホが震えると同時に、メールを着信したことを告げる短いメロディーが流れた。


(え…!)


その曲『Secret Summer』は、もうかなり長い間聴いていない。

恐る恐る見た発信元。

その名前を見た瞬間、息が止まる。


(京介くん…!!)


1年以上、途絶えたままだったカレからのメール。

震える指で新着メールの内容を表示させる。

そこには『ごめん』とだけ書かれていた。

そのひとことにいったい何の意味があるのだろう。

京介くんはこのひとことにどんな意味を込めたのだろう。

浮足立った私の気持ちを一気に地上に落とすような、良くも悪くも取れるこの言葉に、私の心臓は制御出来ないほど拍動した―――。



~ to be continued ~