今年6月に行われた《ダーリンは芸能人forGREE》のジューン・ブライド・イベのレポです。
思いっきりのネタバレですので、ご注意を。
【誓いのウェディング・キス with 夏輝】step4
レッスンスタジオの控室に入ると、同時にデザイナーさんが走って入ってきた。
デザイナー
「○○ちゃん、この辺に指輪落ちてなかった?」
主人公
「え? 指輪ですか?」
デザイナー
「実は、今日の演出に使おうと思って昨日試してたんだけど、この辺りに落としちゃったみたいなの」
デザイナーさんが肩を落とし、困ったように言う。
デザイナー
「指輪のことは誰にも言ってなかったから予備も用意してないし……」
一生懸命に指輪を探しているデザイナーさんを見て、私も床に手と膝をついて指輪がどこかに転がっていないか見渡した。
(デザイナーさん、あんなに必死になって……きっと大切な指輪なんだろうな)
探しても探しても指輪は見つからず、デザイナーさんが腕時計を見てため息をついた。
デザイナー
「もう挨拶に戻らなきゃ……。 もう諦めるしかないわね……」
主人公
「あの、後は私が探しますから先に会場に行ってください!」
私は笑顔を見せて、デザイナーさんに申し出た。
デザイナー
「そんな、○○ちゃんにも出番があるのよ? もう少し一緒に探すよ」
主人公
「でも、ショーの最初の挨拶はデザイナーさんがいないと……私なら大丈夫です!」
そのとき、ドアをノックする音がして、山田さんの声が聞こえた。
山田
「○○、ここにいるのか?」
主人公
「はい」
山田さんは、私とデザイナーさんが四つん這いになって指輪を探しているのを見て目を丸くする。
山田
「時間になっても現れないから来てみたら、一体どうしたんだ?」
私とデザイナーさんは、立ちあがって山田さんに理由を説明する。
主人公
「山田さん、デザイナーさんだけ先に会場に送ってあげてください。指輪は私が探します!」
山田
「……お前の気持ちはわかるが、お前も大事な出演者なんだぞ?」
主人公
「あと30分だけ……それで見つからなかったら、諦めてタクシーで向かいます」
私は山田さんの目をまっすぐ見て答えた。
山田
「わかった。 出番には遅れずに来い」
デザイナー
「○○ちゃん、ほんとにありがとう」
私は山田さんとデザイナーさんを見送って、またすぐに指輪探しを続けた。
(お願いだから見つかって……)
私は祈るような気持ちでカーペットをめくって見たけれど、そこにはゴミばかり。
(どうしよう……あと少しで時間になっちゃう……)
主人公
「そういえば、確かこっちに別の衣装室が……」
私は控室の横に衣装室があるのを思い出した。
(もしかしたら、そこに指輪があるかも……)
そのとき、突然控室のドアがバンっと開く。
??
「○○ちゃん!?」
(え……?)
そこには、息を切らして走ってきた夏輝さんが立っていた。
主人公
「夏輝さん……? どうして……?」
夏輝さんの姿を見て、私は呆然と立ち尽くす。
夏輝
「よかった……入れ違いにならなくて。 …指輪、オレも一緒に探させて?」
夏輝さんが優しい笑顔で私に近づいてくる。
主人公
「どうして……指輪のこと……?」
(……夏輝さんが、助けに来てくれた……)
夏輝さんは何も言わず、腰をかがめて、部屋の隅を覗いている。
真剣な眼をして指輪を探してくれる夏輝さんの横顔に、汗が光るのが見えた。
(……諦めないで、もう少し頑張ってみよう……)
私はもう一度、小さな隙間に指輪が落ちてないか全ての衣装ケースを確かめる。
声には出さなかったけれど……夏輝さんと一緒なら必ず見つかる気がしてならなかった。
~ to be contiued ~