日没 | アルツハイマー・ディジーズ

日没

nichibotu

 

日が沈む
今日という1日が終わろうとする
まだらにかかった雲の隙間から太陽のひかりがもれる。
レースの間からもれる光みたいに
空は光でちりばめられる。
そんな今日の夕日

母は子供にかえっていく。私の横で。
帰りには私を見送ってくれた。
私は母をおいてきぼりにする。
そして自分の作った家庭に帰る。
子供になった母はしばらく一人でお留守番。

自分の家には子供と夫と夫の両親。
私に命をくれた母より優先して私が帰る。
おかあさん、許してください。

母は「いってらっしゃい。今日はこっちに帰ってくるでしょ」と笑う

でも、きっと、そんなにひどい出来事じゃない。
母は幸せそうで元気で、空からこぼれる光みたいに輝いてた。
太陽はあたたかい。

太陽がさるとき、光がきえ、世界の色はうしなわれる。
樹木は光合成をやめ、しずかな呼吸をはじめる。
わたしもしずかに呼吸をしてみる。

私はしっている、日は必ず昇る。
それはうらぎられたことがない。
夕日には未来への予感がある。

おかあさん
いつも傍にいることはできないけど、
私は命をいっぱいちぎっておいていくからね。
大丈夫。
命はいくらちぎっても、また、増えるから。
明日、太陽は必ず昇るから。