ご主人さまとはなんにも約束しないまま、駅でばいばいしちゃった。
家に帰り着いてからも、ずっと気持ちがざわざわしてた。
夜に…きっと終電くらいには帰ってくるはずだから、
わんわん駅までお迎えに行きたいなあ。
それまでに首輪は用意できないよ、ってご主人さまは言ってたけれど、
首輪よりも、ご主人さまそのもののほうが、断然いいに決まってる。
…ようするに、ただ顔を見るだけでいいから、会いたい。
どうしよう
どうしよう
そう思いながら、体は勝手にそのまま出かけられる支度をしてた。
『○○駅を10時くらいに出発』
ご主人さまからメールがきた。
だから迎えにおいで、とか、そんな言葉は当然無い。
でも、このメールだけで十分。
『じゃあ、○○駅に着くのは11時半くらいね(^-^)』
携帯で乗り換え検索しながらご主人さまにお返事。
同時に、もう戻ってきてた車のエンジンをかけた。
『そんなもんで着く?』
ご主人さまはお友達との新年会で初めてその駅で降りたみたい。
携帯で乗り換え検索した画面の文字をコピーして、ご主人さまにメールした。
『もうその駅過ぎた(笑)』
ありゃ、乗り換え検索し直し(笑)
時々車を停車させて、電車の乗り換えを調べながらご主人さまの着く駅に向かってく。
なんだかそういうイベントみたいだ。
少し不安で、だいぶ楽しくてわくわくした。
わんわんナビでご主人さまを駅に誘導するイベント。
ゴールはわんわんの黄色い車の助手席(笑)
少し早めに駅に着いて車でご主人さまを待ってたら、
前のほうからご主人さまが歩いてくるのが見えた。
助手席のドアが開く、と思ったら、
ご主人さまはそのまま車の横を通り過ぎちゃった。
えー!?とか思って、通り過ぎたご主人さまを目で追う。
こんな目立つ車なのに!
ご主人さまは通り過ぎたんじゃなくて、
そのまま車の周りをクルンと一周してから、助手席に乗り込んできた。
ああ、びっくりした。
黄色い車を見落としたのかと思っちゃった。
「おかえりなさーい」
「ただいま」
「なんで車の周り一周したの?(笑)」
「わんわんが俺に気付いてなかったから」
「えー?気付いてたよ、前から歩いてきたでしょ?」
「なんだ、気付いてたのか(笑)」
わんわんがご主人さまに気付かないと、時々いじわるされるんだ(笑)
前もご主人さまがどこにいるのか判らなくてキョロキョロしてたら、
『俺からは見えてる』とかメールしてきて、わんわんがキョロキョロしてるの眺めてたもん(笑)
『キョロキョロしてるな(笑)』
『困ってる(笑)』
『本物の犬みたいだ(笑)』
そんなメールを寄越しながら、わんわんを眺めてたから。
「さ、買い物行くよ」
「お買い物?」
「この時間じゃ100均はやってないけど、ドンキならやってるだろ」
「ドンキ行くの?」
「首輪買いに行こう」