「ほら、ご奉仕出来てない」
表情1つ変えてないご主人さまが私を見上げながらそう言う。
ちゃんとしなくちゃって思うのに、体が全然言うことを聞かない。
上手に動けない。
「ここで気持ち良くしてくれるんじゃないの?」
「う…」
「自分がいってちゃ駄目だろう」
「ごめ…なさ…」
「ほら」
「っ!あっ、やめ…っ」
うー、って唸り声みたいなのを漏らしながら、グッと奥歯を噛んだ。
ぎりぎり嫌な音が耳の奥に響く気がする。
がまんしなくちゃ。
競り上がってくるの、逃さなきゃ。
はっ、はっ、はあっ、って、短く息を吐きだす音と、ギリッて奥歯を噛み締める音。
いったらまた動けなくなるけど、
いくのを逃すように我慢してても上手に動けない。
上手に動けないぶんもどかしくて、体の奥が勝手に暴れだす感覚。
きゅうきゅうとご主人さまを締め付けてく感じ。
「頑張ってるな(笑)」
「う…ん、う…」
面白いものを見てるみたいにご主人さまの表情が少し緩んだ。
口唇の端がニヤと上がったみたいに見える。
きっとそれとは反対に、わんわんの表情は困ったみたいに堪えてるみたいに歪んでるんだろう。
「ちゃんと動かないと気持ち良くないよ」
「あ、だめ、だめだめ、あっ、」
下手に我慢したから、逃しきれなかったから、そのぶん揺り返しがくるよ。
下からご主人さまに体を揺さぶられて、
さっきより大きい波が体をざわざわ包んでくよ。
「…い…いき…」
「ほら」
「いきそうまたいきそう、いっちゃう、いい、いい…っ」
ばかになったみたいに同じ言葉だけを吐き出して、
体をがたがた震わせて、
酸欠のさかなみたいに口をぱくぱくさせて、
頭がぐらぐらして、
今度は上手に逃せなくて、
体も支えていられなくて。
気が付いたら私は、ベッドの上に仰向けに倒れたまま、
ただ荒い呼吸を繰り返して、条件反射みたいにびくんびくんと体を震わせてた。