好きじゃなくなったら【24】さまよう | 夢 出会い 魔性

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日記だったり思い出だったり願望だったり不倫だったり。




ベックスを出てから足どりが重い。


駅から乗る電車はご主人さまとは逆方向。
ホームでばいばいだ。


今までのパターンだと、また終電くらいにご主人さまを迎えに来たり、
次の日も会ったりしてたけど…

次の日の午前中に用事があるわんわん。

だから次の日の約束はしていない。

今日、今、電車に乗ったら本当にばいばい。


どうしよう
明日、午後時間がある?って聞いてみようか。

…ダメ。
自分が何時に空くか判らないのに、ご主人さまに空けといてもらうわけにはいかない。


でも
…でも、次にいつ会えるか判らないのに。

いまだって4ヶ月ぶりなのに。




頭の中でごちゃごちゃ考えながら、ご主人さまと一緒にホームへの階段を下りてった。

ご主人さまが乗る電車がすぐに滑り込んでくる。


「じゃあね」

「…うん」


結局なにも言えなかった。

ご主人さまは軽く手を挙げて、電車に乗り込んでしまった。

くしゃ、っと顔が歪んだのが自分でも判った。

ご主人さまが乗った電車は空いてて、
わんわんのほうに背中を向けて座るご主人さまが見えてる。

座ってからご主人さまは、
少し体をよじるようにして、わんわんのほうに振り向いた。

まっすぐにご主人さまが見られない。

歪んだ表情のまま、視線があちこちさ迷った。

ご主人さまを見ないようにしたまま、
ただ頭をコクコク動かして見せた。

(大丈夫よ、大丈夫よ)って、そんなアピール。

ゴメンね、泣きそうな顔してるけど大丈夫よ。

ご主人さまはこっちを見てる。

わんわんは、時々チラッとしかご主人さまを見られない。

でも一生懸命頭をコクコクしながら手を振った。

すぐに電車は走り出して、ご主人さまは見えなくなった。

カタカタ両膝が震えて、立ってるのが辛かった。

まばたきしたら零れそうに涙が溜まってたから、
零れないうちにハンカチで吸い取ってしまった。

わんわんが乗る電車も、それから少ししたらホームに入ってきた。



電車に乗ると、すぐにご主人さまからメールが来た。

お返事。

またご主人さまから。

お返事。

またご主人さまから。

お返事。



メールはそこで止まった。

電車で15分くらいの駅で、ご主人さまは飲みお友達と待ち合わせ。


(合流したんだな)


鳴らなくなった携帯を握ったまま、電車に揺られておうちへ帰った。