今夜は風が強い。
ガタガタとか、ゴーッとか聞こえる。
強い風の音って、なんだか不安を煽るように聞こえる。
別に飛ばされやしないのに、妙にこわい音。
膝を抱えて小さく丸まって、やり過ごしたい気持ちになる。
夜だから?
きっと『こわい』っていうのも、感情じゃなくて感傷。
感傷的な気分になる音なんだろう。
だから『こわい』っていうのは錯覚。
単なるセンチメンタリズム。
こわくない
こわくない
その証拠に、朝になればなんともないはずだもの。
でもね、でも。
もしもご主人さまと一緒だったら。
風、すごいね
すごい音だね
なんだかこわいね
そんなこと言いながら、ぺとっとくっついちゃうと思うの。
呆れ顔のご主人さま。
にやにや笑いのわんわん。
わんわんが半分ふざけているのはお見通し。
だからきっと、くっつくなって言われる。
ペリッとご主人さまから剥がされるのが怖くて、
わんわんは眉を『ハ』の字にしちゃうと思う。
そのわんわんを見て、ますます呆れ顔になるご主人さま。
「もしかして、ホントに怖いの?」
「…うん」
こわいのは風の音じゃなくて、ペットリくっついてるご主人さまから剥がされること。
でもきっとご主人さまには判らない。
「子供か(笑)」
「子供じゃないもん」
「しょーがないな」
わんわんがホントに怖がってると思って、ちょびっと強めにギュウしてくれるはず。
そうしてくれるはず。
さあ、風の音を聞きながら眠ってしまおう