「結局は遺伝子で惹かれるのか」
電話の向こうでご主人さまがそう言った。
それ、わたし、何度も言ったよね?って笑った。
出会って間もないころ。
私という本体がご主人さまを好きだと自覚する前。
好きだとも思ってないから、平気で言えたのだ。
「私、あなたの子供が欲しい。なんかわかんないけど(笑)」
遺伝子レベルで惹かれてしまうなら、なんかもうお手上げじゃない。
それって、いわゆる本能。
食べたいとか眠たいとかと同じレベル。
意識しなくてもお腹が空くように、意識しなくても遺伝子がご主人さまを求めるなら、
それって、私には抗いようが無いってこと。
今まで生きてきて、本能が求める人に会ったのは1度きり。
たぶん、人生はもう折り返しにかかっている。
つまり、半分は過ぎている。
半分以上生きて1人なら、残りの半分以下の人生では、きっとそんな人に会うことは無いだろう。
単純な、確率の問題だ。
それなら体の好きにさせてやろう。
私の意思では無く、体の意思だ。
お腹が空けば食べるように。
眠くなったら眠ってしまうように。
私の生きる本能がご主人さまを求めるなら、
体の好きなようにさせてやりたい。
本能を拒むことは、生きることを否定することなんだよ。