激動 29誰かのもの | 夢 出会い 魔性

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日記だったり思い出だったり願望だったり不倫だったり。




少しずつ自分を取り戻してく感覚。

ピクンと指先が動いて、その自分の動きで脳みそも動き出す、みたいな。



わたしを覗き込むみたいにしてるご主人さまと視線がぶつかった。


「帰ってきた(笑)」

「…わたし…どっか行ってた?」

「どこ行ってたんだか(笑)」


汗だくな身体がマットの上でツルンと滑る。

何やってんの、とご主人さまが笑う。

少しバツが悪い。
照れ隠しみたいにエヘヘと笑い返した。

お腹の上にはトロリとした白い液体が零れてた。

お風呂のお湯でご主人さまが流してくれてる。



「汗だく」

「うん」


さっきまで浸かってた湯舟に、ご主人さまはまた身体を沈めた。

わたしはシャワーで汗を流してた。

お湯に浸かってるご主人さまが何か歌ってる。
車の中とかでもすぐ歌うの(笑)



「あ」

「ん?なに?」

「…天城越え」


前にカラオケでご主人さまが歌ってた。

『これくらい愛されてみたいなあ』なんて言ってた。
本気じゃなくて、たぶん軽口だろう。


「天城越え?」

「うん。誰かに取られるくらいなら…♪あなたを殺して、いいですかぁ~♪」


ニヤニヤ笑いながら、わざと大袈裟に歌ってみせた。


「はは」

「エヘヘ」

「ていうかさー」

「ん?」

「あなたが『誰かのもの』でしょうが」

「…はは」


判ってること。
わたし結婚してるもん。
離婚を考えてるのと、離婚してるのとは全然違う。


タオルで水気を拭き取って、出掛けるための支度を始めた。


「あ、写真!」

「ん?」

「ゆうべ、明日一緒に撮ろうって言った!」

「ここで?(笑)」

「外で撮るの?」

「どこかいいポイントがあるだろ(笑)」


ラ/ブホ/テルのお部屋の中で、ひっそり撮るんだとばかり思ってた。

(外かぁ…)


外でご主人さまと一緒に写真を撮るのか。

そんなこと、いいって言って貰えると思って無かった。


「もう支度できた?」

「うん、大丈夫」

「清算するよ」

「うん」


靴を履きながら、お部屋の中の清算機でお金を払ってるご主人さまを待った。


今日もいい天気。



暑くなりそうだ。