友達はちょうど休憩中で、立ち話だったけど仕事の邪魔をしなくて済んだ。
ご主人さまは「カフェで待ってる」って。
だからすっかりガールズ(って言うには無理な年だけど)トーク状態。
「今ね、旦那は実家に帰ってるんだ」
「そっか~」
友達夫婦があまり上手くいってないのは知ってたので、
自然とそんな話しになった。
「…旦那はすごくいい人で、なんだか息が詰まるの」
「うん」
「旦那には、もっといい人が居るんじゃないか…って思っちゃう」
「それは逃げ口実だよ」
ずるいな、って思った。
『いい人』って言葉を選んでるから、ご主人を立てて自分を落としてるように聞こえるけど、
その『いい人』に息が詰まってるんじゃない。
相手にとって自分が相応しくないんじゃなくて、
自分の気持ちが、もう相手には向いて無いんじゃない。
そう思った。
「旦那さんが…じゃなくて、自分の気持ちと向き合ったほうがいいよ」
私もずるい。
友達に言いながら、自分にも投げかけた言葉みたいに思えた。
(私ももっと自分の気持ちと向き合ったほうがいい)
夫のこと
ご主人さまのこと
私は明らかにずるいことをしている。
休憩時間が終わってしまった友達とばいばいした。
きっと、もう会う機会は無い。
別れ際に手を差し延べられて、握手した。
きっと彼女も同じように感じてる。
*・*・*・*
「もういいの?」
「うん」
「夕ごはん一緒に、とかは?」
「…うん、いいの」
「そうか」
カフェで待っててくれたご主人さまと合流して、
タコ焼きを買って、走りながら車の中で食べた。
わんわんが1つ食べて
ご主人さまに1つ食べさせて
わんわんが食べて
ご主人さまにアーンってして
食べながら友達の話しをした。
自然と離婚とか結婚の話しに流れてく。
「俺も考えなきゃなあ。プレッシャーだ」
「プレッシャーなの?」
「プレッシャーだよ。長男だし子供のことも」
「作っちゃう?」
「誰と」
「んっ!」
「あなたはダメ。奥さんでしょ」
え~、とか言いながらケラケラ笑って聞き流した。
ポロンって涙が出たけど、運転中のご主人さまは正面を見てる。
わんわんもご主人さまのほうは見ないで正面だけ見てた。
これなら声だけ気をつければ大丈夫。きっと大丈夫。
泣くのは間違ってる。
ご主人さまは正しいことを言っただけなのだ。
泣くのは間違ってる