ご主人さまに電話して、埼玉に用事があるのか聞いた。
無いってお返事。
「じゃあわんわんが行く~」
「どこか行きたいとこある?」
「…思いつかない」
「せっかくこっちに来るんだから、どこか行きたいとこないの?」
すごく困った。
わんわんはご主人さまに会いたいんだもん。
つまり、目的はご主人さま。
1番の目的がハッキリしてるのに、
それ以外のことなんて思い付かないよ。
「……だもん」
「え?なに?」
「○○さんに会いに行くのが目的だもん…」
「それは判ってるけどさ(笑)」
恥ずかしくてハッキリ言えなくて、
口の中でゴニョゴニョ言ってることに「それは判ってる」って言われてしまった。
なんだか恥ずかしさの二乗な感じだ。
「行きたいとこ、わかんない」
「このへんは何も無いからなあ」
「なおさらわかんない」
「大阪でも行く?」
「大阪行ったことない」
「行きたい?」
「うん。通天閣?なんかごちゃごちゃしたとこ」
「行くか(笑)」
「でも大阪遠くない?」
「日帰りで遊べるよ」
「わんわん、そっちに着くの始発でもお昼過ぎるよ」
「新幹線使っていいから」
…新幹線使っていいって、変じゃない?
わんわんはビンボー犬なので、普通の電車で行くつもりだった。
始発に乗ってお昼過ぎに着くって言ったから、
ご主人さまも、わんわんが普通の電車で来るつもりだって判ったんだと思う。
で、「新幹線使っていい」
…これはきっと、新幹線代は出すからって…こと…かな。
出してくれるの?って聞くのは変だし、
出すって言われてないのに「そんなのいいよ」って言うのはもっと変。
「うん、じゃあ新幹線で行くね。そしたら10時前に着く」
少しだけグルグル考えたけど、他にお返事のしようがなかった。
じゃあ明日ねって電話を切ってから、慌ててお出かけの準備。
やっと準備が終わったのは、3日の午前3時くらい。
1時間くらい寝て、起きてから髪をくるくる巻いて、
朝の5時過ぎに自宅を飛び出した。