「あっ、はあッはあッ…ん」
呼吸がうまく整わなくて、激しく吸い込んで吐き出して。
ごほ、なんて咳まで出てしまった。
だらんと力が抜けてしまった身体を、
座席に倒れ込まないようにご主人さまが支えてくれてた。
「…う」
「どっか行ってたね」
「…お花畑が見えそう」
「死なないだろ普通(笑)」
ほらってご主人さまが飲み物のグラスを差し出してくれてる。
はあはあ激しく呼吸をしてたから、口の中がカラカラだった。
「…コーラおいしい」
「はは」
ミルク好きなご主人さまは抹茶オレをゆっくり口に含んでる。
わんわんはごくんごくんと一気飲み。
「げっぷ出るよ」
「…出そう」
「色気ないなあ(笑)」
「うん(笑)」
ご主人さまがげらげら笑ってる。
わんわんもつられてげらげら笑った。
ご主人さまが立ち上がったから、ああドリンクのお代わりだなあ…って思って立ち上がった。
立ち上がったけど、ひざがカクンとして、またその場に座り込んだ。
「持ってきてあげるから座ってなさい」
「うん、あのねアイスティ」
「はいはい(笑)」
シロップいらないんだよなあ?
なんて言いながら、ご主人さまがドリンクを取りに行ってくれてる。
駄犬はいつもご主人さまに面倒見てもらいっぱなし。
「ほら」
「ありがとう」
隣にドサと腰を下ろしながら、ご主人さまがグラスを置いた。
グラスを置いた手で、わんわんの頼りない髪をするんと撫でてる。
「あのね、触らないでね」
「なんで」
「くすぐったいから」
「くすぐったいのか(笑)」
どれ、って面白がって、手の平全体で頭を撫でてる。
それから指先に力を込めて、わしゃわしゃって髪を掻き回した。
「あは」
「ぐしゃぐしゃだよ。なんで喜ぶの」
「んー?わんわんだから?」
「ホントに犬だなあ」
両手でわしゃっと髪を掻き回して、ご主人さまがわんわんを見て笑ってた。
「わんわんだもん、犬で当たり前」
「そうか(笑)」
ああ、甘えたくなってきた。
ご主人さまにペトンとくっついて、頬っぺたすりすりしたいなあ。
さすがに恥ずかしくて出来そうもないから、
ご主人さまの手を握って、その手の甲にすりすりした。
「甘えんぼモードだ」
「ばればれ?」
「バレバレ(笑)」
人目があるのが恨めしい。
いくのより、甘えるほうが恥ずかしいもの。