懲りずに妄想する犬【7】 | 夢 出会い 魔性

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日記だったり思い出だったり願望だったり不倫だったり。




「煙草が無いな」


ご主人さまは、1度開けたボックスのセブンスターをぐしゅと握り潰した。

「…わんわんのならあるよ」

トロンと蕩け始めた意識を引き戻して、バッグの中をがさがさと探る。

はい、と箱ごと渡すと、細い煙草を1本咥えて火を点けてから

「吸った気がしないなあ」って苦笑いしてた。


わんわんの煙草を咥えたまま、ご主人さまは気まぐれにリモコンのボタンを押してる。

オンのスイッチとオフのスイッチが分かれているわけじゃなくて、
1度押したらオンで、また押したらオフ。

何回か押してると、ご主人さまにはオフだかオンだか判らなくなる。


オフのまま車はコンビニの駐車場に停まった。

ご主人さまは煙草を買うのだろう。


「行くよ」

「わんわん煙草あるよ」

「行くよ」


…ああ、降りなさいってことだ。

ご主人さま、ちゃんとリモコンを握ってポケットにしまってる。

恥ずかしいけど可愛らしいアクセサリーを着けて、
身体の奥にはロ/ーターを入れてて、
着ている物はコート1枚とロングブーツ。

ドアを開けたら、ひんやりとした空気が汗ばんだ身体に心地好い。


コンビニの入り口の脇のごみ箱にくしゃくしゃのセブンスターを放り込むご主人さま。

なんとなく1人は不安で、ご主人さまと離れないようにくっついてお店に入った。


「トイレ借ります」

店員さんにそう言って、ご主人さまはコンビニのトイレに向かってしまった。

まさか着いて入るわけにはいかないから、トイレの前で落ち着きなく待ってる。

トイレの順番待ちしてる人みたいだ。

いつもはお菓子とか本とかてきとうに眺めてるのに、
やっぱり1人はなんとなく不安でトイレの前から動けない。


「?トイレか」

「…うん…ううん…うん」

出てきたご主人さまに聞かれても歯切れの悪いわんわん。

「うん、トイレ」

「入れば」

「うん。うん、待ってて」

「別に置いてかないし(笑)」

違うの。
どこも行かないでトイレの前で待ってて欲しいの。

……なんて言ったら笑われる、きっと。
だから言わずに、心持ち慌ててトイレに入った。

用をたしてしまってからアクセサリーを思い出して、どうしようか…と思案。

幸いウォシュレットだったので、それを使ってからティッシュで軽く押さえて水気を拭った。


トイレを出るとご主人さまはスナック菓子の辺りで棚を眺めてた。

思わず小走りでご主人さまの元に向かうと、
「なに慌ててんの?置いてかないから」って笑われた。



だって、だって、こんな格好。

1人で居るなんて、無理なんです。