「声、出すなよ」
笑ってるように聞こえるご主人さまの声がモヤっとした頭に響いた。
自分の呼吸でのぼせそうな頭でも、
ご主人さまが何をしようとしてるのかくらい判る。
さすがに腰が引けた。
だって、外の空間と完全に遮断されてないし、
ご主人さまが座っている数十センチ向こうの通路は、普通に人が歩いてる。
引き寄せられてご主人さまを跨いだまま、
膝立ちの腰を沈めることが出来なかった。
「どうした」
「……」
「止めるか?」
腰は完全に引けているのに、身体はざわざわ疼いたまま。
なんだか泣きたい気持ち。
したいの。
いますぐ、すごくしたい。
でも
でも
「どうする?」
沈められない身体の中心に、ご主人さま自身が当たってる。
ヌルッて、擦れるような感覚。
簡単に身体が開いてしまいそう。
ううん、もう開き始めてる。
ご主人さまを飲み込みたくて、入り口がいやらしくうごめいてる気がする。
返事が出来ない私の身体を、
ご主人さまが持ち上げるように、自分から離そうとした。
「あ、やっ、!」
離さないで離さないで
半ば反射的な動きで、ご主人さまにしがみつく私。
自分からグッと腰を下げると、簡単にご主人さまを飲み込んでしまった。
「あっ、あっ、う…」
入ってくるときがだいすき。
ご主人さま自身で私の身体が開いてゆくの。
開きながら、開いた分だけご主人さまを飲み込むの。
ぴったりと
隙間無く
身体って、そう出来てる
膝立ちのままご主人さまの上で身体を揺らして、
繋がった部分から沸き上がる快/感を拾うんだ。
通路を人が通る気配。
動きを止めて声を殺してやり過ごす。
動きを止めても、ご主人さまを飲み込んでる場所はキュウキュウと物欲しそうに締め付けてる。
ジッと静かにしてるぶん、余計にそう感じるのかも知れない。
人の気配がなくなるとご主人さまの上で跳ねて、
人が通るとジッとして、ア/ソ/コの動きだけを感じる。
ブル…と、身体の奥から震えが競り上がってくる。
全身がざわざわ総毛立つ感じ。
ああ、また誰か通る。
動くのを止めても、競り上がってくる感覚は止まらない。
息を飲んで
声を殺して
動かずに
ただご主人さまにしがみついて
繋がった場所だけがびくびくしてる
そこだけがご主人さまを感じてる
びくん
震えながら、しがみつく腕に力が篭った。
ご主人さまの頭に回した腕に力を込めて、
手の平では自分の口元を覆った。
「…っ、んっんっ…ふ…ぁ」
そのまま動けなくてブルブル震えて。
快/感の波が過ぎると、クタッとご主人さまに体重を預けてしまった。
「いっちゃったの?」
小さく耳元で囁いたご主人さまの声は
面白い見世物でも見たみたいに、私には聞こえた。
ご主人さまはイ/ッてなかったけど、
涼しい顔で、私の身体から自身を抜いた。
『なかなか面白かったよ』
そんな風に思ってるのかなあ…って空気。
ご主人さまが楽しかったのならいいの。
(私は『楽しい』じゃなくて『気持ちいい』だったけど)
私が気持ち良かったことより、ご主人さまが楽しそうだったことが
なんだかとっても嬉しかった。