昨日の朝、井上亮先生のことをふと思い出して、こちらに書いたのですが、いまになって、はたと分かりました!

今日11月15日は、井上亮先生のお誕生日でした!!

毎年、先生のお好きな新鮮なフルーツをたくさん乗せた生クリームのケーキを用意し、お祝いしたっけ....

というわけで、つい今日も、亮先生の思い出を書きたくなりました。

 

 

 

 

亮先生(同じ学科に同姓の先生がいらっしゃったので、同僚の先生方も学生も、お名前で呼んでいました、)は、心理臨床実践を、生きることの中心に据えておられて、請われても単著を出されなかったのですが、ご自分の臨床実践の事例:ケース(医療で言う「症例」を臨床心理学では「事例」と呼びます)を、改まった場所で語られることもまた、めったにありませんでした。

 

 

 

 

ある時、「亮先生が事例を話されるよ!!」というビックニュースを、院生の一人が外で拾ってきました。

「私ら、行かせて頂きます」と亮先生に言いますと、先生は、「あ"〜、いったいどこで聞いたん?!断りきれずに引き受けたので...」となんだかすご〜く迷惑そうだったのですが、もちろん私らが聞く耳を持つはずがありません😼。

 

その時の講演者は二人、亮先生ともうお一人、河合隼雄さんの後継者として京大教育学部に招かれた高名なユング学者で精神科医のYY先生でした。亮先生のお話の中身はだいたい覚えているのですが、YY先生が何をお話しになっていたのかは、...たいへん失礼なことですが記憶にありません。「私は医師として振る舞う時と、臨床心理士として振る舞う時のこころがまえと方法を分けている」との旨を仰っていたことだけは覚えています。

 

 

 

 

 

亮先生はご自分の番を終えられた後、YY先生の講話の間に、姿が見えなくなってられました。後で聞きますと、ロビーでうろうろしてタバコを吸っていたとのこと。

 

 

 

 

....でプログラムの流れが、YY先生のお話が終わって、講演者とフロアを交えた意見交換、となったとき、司会の京大教員の臨床心理士AK先生が、「加藤先生が来られているので、ぜひなにかひと言」とおっしゃいました。

 

 

 

 

加藤清先生は、京大医学部で教鞭を執られていた頃、芸術療法学会をはじめ複数の学会の創設に関わられた「伝説の精神科医」とも呼ばれた方です。また、心理療法の価値と役割を認めて、多くの精神科医と臨床心理士を育て導いてこられ、スピリチュアルにも深い関心をお持ちでした。

 

 

 

 

その加藤先生(当時70歳は過ぎておられたはず)が、隣の方から「ご指名です」、と言われて気づかれ、すっくと立たれて、開口一番、いつもの朗々とした口調で、

 

「僕はね、難しいケースで、これはというのを、親しい霊能者に紹介するの。霊能者と一緒に、治療するんや。」

 

でした。ほんとうに「ひと言」こうおっしゃって着座されました。

 

 

 

 

 

司会者と、この貴重な講演会の価値を知って集まっていたたくさんの聴衆と、少なくともYY先生の期待が、見事に(微妙に...?)良い意味で裏切られた、宣言でした。

 

後で亮先生から聞いたのですが、YY先生の話の間、加藤先生はずっと船をこいでられた🙀ので、司会のKさん、わざと加藤先生にふったのだとか............。

 

 

 

 

実はこの時の話はこれだけで終わらないのです。

「最後に講演者から」とふられたYY先生が、このようにおっしゃったのです。

「さきほど、加藤先生がシャーマンと一緒に治療するとおっしゃいましたが、あくまでも『シャーマンのような臨床心理士』という意味ですので、みなさん、誤解がないように。」

 

 

 

 

 

....で、加藤先生が特に何もおっしゃいませんでしたので、それでとりあえず場は収まりました...。

 

いろいろな意味で🙀たいへんに学びの多い、思い出深い講演会でした.....😸。

 

 

 

 

「井上さんは身を捨てて心理療法家としての大いなるイニシエーションを遂げた。願わくば、彼が学び得たことを、末永く色々の研究者に、また治療家に伝えてほしかった。しかし、それはもうできなくなってしまった。残念なことだが、それは明らめよう。彼と共に学び、共に遊んだ者は、命のある限り、彼の残した根源的な治療的現実の方向へと、各自が工夫をこらして歩んでいってほしいと願うのみである。

 井上さんよ、また会いましょう!」

 (加藤清「刊行によせて」『心理療法とシャーマニズム』井上亮著、2006年)

 

亮先生、加藤先生とお出会いになりましたよね!!

 

「あ〜、またアホやっとおなあ....」

「わかっちゃいるけど、やめられない....」って、

お二人で、ぼやき、つっこみを入れながら、

相変わらずもアホやっているアホな私らを

もう少しの間、見守ってやってくださいませ。

そう、もう少ししたら、わたくしも、お二人にお会いできるでしょう。