昔、浅田彰という人が書いた本で『逃走論』というものがある。これに出てくる概念で、パラノ型の人間というのは一つのことに集中し、コツコツ積み上げていくのが得意で、一ヵ所に定住して家を持ち、そこをテリトリーとし勢力圏を広げていく人間で、反対にスキゾというのは一つのことにばかり執着せず飽きたりこれはダメだと感じたらさっさと止めて逃げる人間で、一ヵ所に定住せず遊牧民のようなスタイルで生きていく人のことを言うのである。そういえばチンギス・ハーンだったかも、モンゴルに攻撃されて逃げるホラズムの王族を見て、「男というものはこうであらねばならない。」と言ったというから日本人とは価値観が真逆なのである。日本は太平洋戦争であの愚鈍無能硬直頭の東条英機などが、「生きて虜囚の辱しめを受けず」とこれまた頭の固い硬直した戦陣訓という凶悪極まりない文書を作り、多くの人を無駄に犠牲にしたのだから、とても賢いとは言えず頭が良くないのは明白である。あのフィリピン戦線で敵前逃亡した富永恭次は、ある意味スキゾ的だったが、一番逃げてはいけない立場の人が逃げてしまったのだから、その意味では当時の日本軍の上層部は他人には自己犠牲と道徳と愛国心を強要しながらいざ有事となれば自分が真っ先に逃げる最悪な連中の集まりであり、今の日本でも政治家や自衛隊などの立場の人が有事の際に逃げれないようにすることが必要である。これからの時代、逃げるという選択肢は人生の中でより必要になってくるだろう。浅田彰という人は、昭和天皇が崩御された時に、皇居の前で跪く人々を見て、「自分は何という○人の国に住んでいるのかと思うと改めてゾッとさせられます。」とあり得ない発言をして非難を浴びたのだが、もちろんこんな発言は許されるものではないが、思想自体は今でも有効性を失っていないばかりか、より一層そうした思考が求められる世の中になっている。この浅田彰を非難した中川八洋は、浅田を「日本一の無責任男」とか罵倒しているのだが、それならば中川は「日本一頭が固い因循姑息な頑固者」っていうことになる。中川は、極端なパラノ思考の持ち主であると思われる。だから「日本は攻撃されている、同性愛者、左翼、外国人が日本を破壊している、このままでは日本が中韓に乗っ取られてしまう、日本人が日本人でなくなってしまう。」などという思考に取り憑かれてしまうのだ。