合金の義歯をはめていたため「金属の牙」というあだ名をつけられたソ連時代の殺人鬼である。カザフスタン出身のデュマガリエフは、女性(特に売春婦)を誘って殺害し、強姦してから殺害、体をナイフや斧で切り刻み、さらにそれだけでは飽きたらず、その人肉を調理して食べていたのである。しかも、この男はその肉を友人達に振る舞っていたようである(吐き気がする)。しかし、そこまでの犯行を犯して当然逃げ切れるはずもなく、デュマガリエフの家に招かれた泥酔者2人が台所で女の頭部や内臓が煮られているのを見つけ、驚愕した彼らはすぐに警察に通報し、とうとうデュマガリエフはお縄となった。裁判では7件の殺人で起訴されたのだが、責任能力無しと判断されウズベクの精神病院へ送られた。そしてカザフの病院へ移送される途中で脱走(この時点で十分責任能力があると思うのだが)、人心を乱してはいけないという理由でこの脱走は公表されなかった。さすが旧ソ連だけあって、秘密主義で対応がお粗末である。この間にも、彼は犯行を犯していたようだ。こういう、秘密主義で閉鎖的な組織や社会というのは、犯罪だけでなく色々な面で弊害が大きいという証拠である。そして2年ほど経って、デュマガリエフはウズベクのフェルガナで再び逮捕された。その後のロシアは死刑を廃止してしまったため、こいつはまだ生きているようである。まさに『羊たちの沈黙』のレクター博士そのものである。