▷今回の個所は、非常に難しいところですが、細胞膜を構成している脂肪酸の最も重要なところなので、なんとか理解したいところです。頑張って見て下さい。
最後の方に、補足を入れましたが、油脂の製造方法に問題が多い、という話です。
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健康を左右する不飽和脂肪酸(2)
オメガ3脂肪酸とは何か?
▶︎われわれが食事で摂る脂肪は、三個の脂肪酸と一個のグリセロールが結びついたものである。
▶︎脂肪酸にはたくさんの種類があり、どういう脂肪酸でできているかによって脂肪の性質が違ってくる。脂肪酸は融点が異なるので、バターや牛脂のように常温で固体状の脂肪もあれば、紅花油(べにばなゆ)やコーン・オイルのように液体状の脂肪もあり、通常、液体状の脂肪は油、固体状の脂肪は脂と書き分けている。
▶︎脂肪酸は多種類あるが、大きく二つに分けると、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別される。
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![](file:///var/mobile/Applications/6540D449-43B9-4062-9437-BEEE53C60630/Ameba.app/calet_dummy.png)
脂肪酸は炭素と水素が手を結んで鎖のように長くつながって、その鎖の一方の端に酸素原子が二個ついた構造になっている。そして、酸素原子がついているほうの端をデルタ・エンド、もう一方の端をオメガ・エンドと呼んでいる。
▶︎炭素原子は手を二本、水素原子は手を一本持っているが、飽和脂肪酸では炭素の手はすべて水素の手と結び合っている。
しかし、不飽和脂肪酸では水素と結び合っていない炭素の手があって、その手は何と結び合っているのかというと、炭素同士で結び合っているという個所が何か所かある。
▶︎それを炭素の二重結合と呼び、オメガ・エンドのほうから見ていって最初の二重結合が九番目の炭素と十番目の炭素で起きているものをオメガ9といっている。
同様に六番目の炭素と七番目の炭素で起きているものをオメガ6、三番目の炭素と四番目の炭素で起きているものをオメガ3といっている。
▶︎不飽和脂肪酸にはこの三種類しかないので、不飽和脂肪酸はオメガ9、オメガ6、オメガ3の三つに大別される。
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![](file:///var/mobile/Applications/6540D449-43B9-4062-9437-BEEE53C60630/Ameba.app/calet_dummy.png)
それで、不飽和脂肪酸は表のように分類できる(表1)。
▶︎オメガ6では基(もと)になるのはリノール酸で、これは植物性食品に含まれている。食事でリノール酸を摂ればそれを基(もと)にして、体の中で矢印の方向にオメガ6の脂肪酸をつくり出していくことができる。また、陸上動物も同様のことを行ってリノール酸からアラキドン酸をつくり出しているので、肉や卵や乳製品を食べるとアラキドン酸を直接摂ることができる。
オメガ3では基(もと)となるのはアルファ・リノレン酸で、これも植物性食品に含まれている。そして、アルファ・リノレン酸を摂れば、体は必要に応じてやはり矢印の方向の代謝経路を経て、EPAやDHAという重要なオメガ3脂肪酸をつくり出していくことができる。
▶︎また、魚や海獣などの海中動物は、海藻やプランクトンに含まれているアルファ・リノレン酸から食物連鎖を経過しながら、矢印の方向の代謝によってEPAやDHAをつくり出しているため、魚を食べると直接EPAやDHAが入ってくる。
▶︎それぞれの脂肪酸の名前の右肩に書いてある数字は、左が炭素原子の数、右が二重結合の数を示している。この数字を見ればわかるように矢印の方向の代謝によって鎖が長くなり、二重結合の数も増えていく。
▶︎全身の細胞は不飽和脂肪酸によって細胞膜を作っているが、脂肪酸の鎖の長さと二重結合の数によって細胞膜で果たしうる役割が違ってくるので、たとえば脳細胞はDHAを多く使って細胞膜を作ろうとする。
▶︎それぞれの細胞が自分にとって最も望ましい脂肪酸を選んで細胞膜を作ろうとするわけで、その要求を満たす食事がよい食事であることはいうまでもない。
▶︎また、オメガ6とオメガ3の三つの脂肪酸は、表で示したように調節物質の原料となる。
ジホモガンマ・リノレン酸からは、
1シリーズのプロスタグランジン、
アラキドン酸からは2シリーズのプロスタグランジン、
EPAからは3シリーズのプロスタグランジン
が作り出されるのだが、体が常に正しい調節を行うには、この原料となる脂肪酸の均衡がとれていなくてはならない。
もしも、アラキドン酸が過剰になり、EPAが不足するというような食事がつづけられた場合には、2シリーズのプロスタグランジンと3シリーズのプロスタグランジンの不均衡を招いて多方面にわたる健康上の深刻な問題が生じてくる。
オメガ3、オメガ6とはそのような物質、栄養素群である。
続く
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▷少し補足しておくと、オメガ3は加熱調理には向きません。すぐに酸化して返って毒となります。注意が必要です。だから、魚はナマが一番良い食べ方ということになりますが、その次には、煮る食べ方。吸い物や味噌汁などに入れて食べる。焼き魚は、油が落ちるし、温度も100度を超えて酸化が進みやすい欠点があります。
また、オメガ6の場合は、今村先生の書籍などで暴露されていますが、スーパーなどで市販されている安い植物油などは、その製造方法にとんでもない問題点があるのです。
まず、ダイスや米やコーンなどのドロドロに溶かしたペースト状のものに、石油系のヘキサンという油分を抽出するための溶剤を混ぜて、根こそぎ油分を抽出し、その後、非常に高温の水素を混ぜて攪拌し、ヘキサンを飛ばす。その過程でオメガ6の、二重結合の部分に水素が結合して、もはやオメガ6の油ではないものに変化していたり、二重結合の位置がシス型から、トランス型(自然界にはないそうです)に変化してしまうそうです。
海外では、このトランス型脂肪酸が、毒と等しいので禁止している国もあれば、ラベルに含有率を表示する義務を課している国もあります。日本は、今のところ義務はありませんね。なんという国なんでしょうかね!
二重結合の位置によって、脂肪酸ごとに、微妙にその曲がり方が少しずつ違っていて、脳に多くあるEPAやDHAなどはたくさん曲がっているので、その働きは重要な筈です。だから、鬱病などの精神疾患は、この重要な脂肪酸でできた細胞群に、変化がおきて歪な形になっている可能性が高いとも言えるのではないでしょうか? 私の勝手な意見てすが……。